維如星・日々の雑文

MACHINA EX DEO

如星的日々の雑文

今日の雑文:鞘走り

「結局はこうなるの、か」


ふぅ。軽くため息をついて腰を上げる。
……チームでのプレゼン。今回ばかりは、自分は立つまいと思っていたのだけど。

かつて私に力の揮い方を教えてくれた人はこう言った。『自分がやればできることは分かっている。それを敢えて他人にやらせる術を、覚えた方が良い』、と。私だってそろそろ、毎回表舞台に立つのは疲れてきた。そろそろ、舞台裏に大人しく座っていても良い頃合じゃないか。そう思ってたのに。

世の中には、居るらしい。「始末屋」とか「言いくるめ屋」という人種が。
その時までは黙って関心の無い振りでもしている癖に、最後には立ち上がって自分の思う方向に流れを持っていってしまう人種。そんな都合の良い人種が、私は嫌いだった。嫌いなのに。

「ご説明させて戴いて宜しいでしょうか?」


きっとそれは思わぬ方向からの声。あるいは、誰かにとっては救いの手。
ま、味方の苦境だものな……と、口を挟んでしまってから言い訳を考える。だがその刹那、ああ、やはり気付いてしまう。億劫と形容されるはずだった気分は……実は逸る心を抑える目線であったということに。

我ながら救い難い。
誰にとも無く苦笑すると、私は論客宜しく舌の鞘を払った。

あるいは、そんな一日。
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