Ace Combat 04雑感。
まずゲームの演出・シナリオは、
良質の戦争物語だと思う。前作3は、どちらかと言うとアニメ的で、戦争を遂行する部隊の中での人間模様を描く「ヒーロー物」のような傾向があった。もちろん悪い意味じゃない、これまた完成度が非常に高いゲームだった。
逆に今作04は、そんな主人公周辺の絡みはほとんど出てこない。どちらかと言うと、淡々とミッションをこなしていく2に近いのだが....まず、作戦中の無線や、敵エース部隊「黄色中隊」の設定など、まさに
戦争とはこういうもの、という演出が見事。派手な英雄物ではなく、生きて帰りたい、という思いと、麻痺したような感覚で、自軍の勝利を願う思いとが混じる中で出撃していく様。地上部隊から上がってくる必死の、断末魔の叫び。プライベート・ライアンのような、良質の戦争映画にでも浸っている気分である。
これに加え、ミッション間で流れる
「絵巻物語」が味を添える。
侵攻してきた敵軍に占領された小さな街の、両親を失った少年と、進駐してきた「黄色中隊」との絡みを、静かに描いた物語。戦闘機乗りである「自分」とは直接関わりのないところで物語が展開し、それにより、敵もまた「ただ自分にミサイルを打ってくるハードウェア」ではなく、生きた人間であることが見えてくる。こちらは戦争映画というよりは、戦時中を題材にした物語、といった風情である。
合わせて、「良質の戦争物語」。
例のNYテロ事件の絡みにもなるんだけど、これは決して今自粛してよい作品じゃない。むしろ今こそ、色んな人にプレイして欲しくなるような、そんな作品じゃないかなぁ。
このゲーム、戦闘機シミュレーションとしては珍しく、物凄く
感情移入してしまう。先の物語性に加え、ゲームとしてのドッグファイト、それに若干の軍事ロマンチズムをスパイスにして、自分が本当に連合軍のパイロットになったかのような気分。そして、極めつけがあの国歌や演説のシーンである。
例えば
「敵港湾施設への大規模反攻」ミッションなんだが....やはり都市部のグラフィックスは美しい。某氏がTVCMを見て「アメリカが反撃でも始めたかと思った」ってのはあながち冗談でもないね。
途中で補給を受けながら作戦を続行するシナリオや、中長距離対地ミサイルなどの特殊兵装を使用したりする設定の細かさ、定番の橋の下くぐり
(^^;;を楽しめたのだけど。
何が驚いたかと言うと、ミッション完了の無線が本部から入ると、僚機のパイロットが無線内で拍手喝采。その後ゲーム画面のまま各僚機が帰還していく画面になり、国歌と思わしき歌を誰ともなく歌いだし、合唱になり、やがてBGMに置き換わっていくシーンが演出されていたのである。
見事な演出である。国歌内に「Liberty」という単語がある辺り、明らかにアメリカをモチーフにしてるんだろうけど....
時期が時期だけに、異常なリアリティである。見事すぎる。ああ、アメリカ空軍兵士なら、きっとこういうシーンでこう歌いだして帰還するんだろうなぁ、と強く納得できてしまった。うっわー。
ゲーム最後の作戦開始直前には、(字幕はないけど)「激励演説」まで用意されてる。訳分からん英語と思って飛ばしてる人も多いんじゃないかなぁ....これまた、時期的にもかなり「リアリティがありすぎてぞっとする」ぐらいの出来栄えなので、プレイしてる人は一度落ち着いて聞き込んで欲しいと思う。
#耳コピなので正確じゃないかもしれないけど、
ここに全文と和訳を載せてみました。
もちろん、ゲームにゃ何の罪もない。
よく
似非自称社会学者:pが指摘するような、戦争関係のゲームが戦争に対する抵抗を弱めるなんて
嘘っぱちを私は信じちゃいない。少なくとも私や、私の周りは、この手の軍事知識に興味を持つ奴ほど、例えば今回のテロ事件で恐怖を覚えていた。WTCでの被害者に対するだけに留まらない恐怖を。私たちは、戦争はゲームの中で知識として楽しむに尽きるということを、実際の戦争がどれだけの被害を人類にもたらすかを、十分に知っているからだと思うのだ。
あ、もちろん、純粋にドッグファイトを楽しむだけでも最高の作品♪
色々と遊び心も満載だし、空の透明感や、大気中を駈け抜ける気分がしっかり味わえる。まぁフライトモノが好きであれば、とりあえず買っとけ。Very Easyなんてモードもあるので、苦手な人でも遊んで欲しいなー。
あと今回から加わった対戦機能で空戦してくれる人募集中
(^^;;