VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.
前回各所でご好評いただいた「小説本の作り方!」。先日、そのフォローアップというか実物トーク編としてtwitterで軽くオフをコールし、実際の同人誌を眺めながら小説本作りについて駄弁る会を開いてみました。
と言うわけで、その時に出た意見等々をまとめる形で、若干のフォローアップを。
前回触れなかった本の構成要素の中で、一番素人臭さに直結していたのは紙の種類。
まず端的に言うと、上質紙はやめとけ! コピー用紙と類似の白色度の高い紙なんだけど、漫画本なら普通にアリなこの紙も、小説本でやると何故かまさに「コピー用紙にパソコンで打ち出しました」感がくっきり出てしまう模様。単にコントラストが眩しく読みづらいだけでなく、特にフォントにMS明朝を使っている場合、なまじ見慣れているだけに余計に手作り感溢れる紙面になってしまうようだ。もったいない。
印刷所によって紙の取り揃えは異なるけど、白色度の低い(クリーム色に近い)紙がお勧めだ。文字を追い続ける小説本ではコントラストは低めのほうが目に優しいし、商業小説本で見慣れた紙色でもあるので前述の手作り間の正反対の印象を与えられる。
「書籍用紙」「クリーム書籍」「淡クリームキンマリ」などの名前で印刷所の「本文用紙」の選択肢として挙がっているはずだし、よく分からなければ印刷所に直接問い合わせてみよう。ま、印刷所サイトに載っている紙の名前をぐぐるだけでも結構分かると思うけどね。
あと、紙の後ろに「70kg」等の標記がついているけど、これは「紙の厚さ」を表している。規定サイズ(大抵は四六版)で1000枚重ねたときの重さなんだけど、とりあえず70kg以上必須、できれば90kgがお勧め。小説本で紙が薄いと、後ろの文字、というより行同士が重なって透けてしまうので、漫画以上に読みづらい代物になってしまう。90kgにすれば透けはまず出ないし、当然ページ数が少なくても厚なって見栄えがいいという利点もある(苦笑)。
逆にこれ以上厚くなると、特にページ数の多い小説本では薄い漫画本以上にノドを開くことになるため、非常にめくりづらくなる。ちなみに180kgが官製はがきの厚さなのだけど、120kg等の「厚紙」で本を作る猛者もいたらしいとは印刷所の方の談話。いくら厚く見せたいからといって本末転倒なので気をつけられたし。
これは本気で書き出すと丸々一回分を費やしてもなお足りない、というコンテンツになってしまうので、作り方そのものは今回は割愛。いつか書ければいいなぁとは思うけど、多分「同人誌の作り方」以上に難物になりそうである。
さておき、小説同人屋ならではの事情として、表紙を絵師さんに頼むケースは多々ある。デザインレイアウト等で自力で頑張るのでない限り(これはこれで是非勧めたいのだけど)、絵も描けて小説も行けます!って人は少数派だろう。
というわけでフォローアップ次回は、表紙系の話の中でも絵師さんとの仕事の進め方についてちょろっと書いてみようと思う。やはり「絵」という自分の不可能領域をこなす人とのコラボは、色々遠慮もあって「他人に聞けない」事が多いんではないかと思う。あくまで自分の一例だけど、参考になれば幸いである。乞う御期待。
大変長らくお待たせいたしました、「チキン・ダイバーズ」再公開です!
……と言っても、元の小説版ではありません。マブラヴラジオ等でお聞き及びの方もいらっしゃるかと思いますが、公認二次創作として昨年夏コミのオルタファンブック「LD1」に掲載されました軌道降下兵短編「チキン・ダイバーズ」がゲーム化され、今夏コミ・アージュブースにて販売の「LD3」に付属されることになりました!
その名も「アンリさんのダイヴ天国2フライド地獄」、迫り来るレーザーを照射警報を頼りに回避しつつ、衛星低軌道からメインシャフト最奥までを下りきるレトロ風縦スクロールアクションです。駆逐艦→再突入殻→戦術機→管制ユニット→強化外骨格と、レーザー照射を数回耐えられる鎧が次々と剥げ落ちていく中、スコアアタックモードでは延々と地球の中心まで落下可能でエンディングはありませんが、ストーリーモードでは凄乃皇弐型が自機ごとハイヴを薙ぎ払ってくれるまで落下すれば目出度くグッドエンドとなります。
チキン・ダイバーズ国連宇宙総軍軌道降下兵団待機軌道LE-521、高度500km地球低周回軌道。
──狭い空間に俺一人。当たり前だが、静かだ。俺はグラブの中に冷たい汗を感じ、触る必要も無い操縦桿を何度も小指から握り直す。
再突入殻に押し込められ、薄暗い地球を頭上に眺めながら、俺は人生三度目の軌道降下突入、いわゆるオービットダイブを毎度変わらぬ恐怖心で待ち続けていた───
改めまして。軌道降下衛士の孤独と熱情を描いた、マブラヴ・オルタネイティヴサイドストーリー「チキン・ダイバーズ」が、本編と同じAGESによってゲーム化されます。
元々が小説形式のチキン、今回はキャラ等への若干の変更を含むゲームシナリオ化、及び軌道降下の演出指定をやらせていただきました。……これがまた実に楽しい。元々如星はほぼ完全な動画が脳内に浮かんでモノを書くタイプなので、その脳内にある表現をどんどんとAGESの演出指定に落とし込んでいく作業は、絵心も無く動画なんて夢の果てという如星にとっては最強の「表現手段」になり得ました。いやこれはクセになりそうです:)
そしてキャラクターデザインはトータル・イクリプスのイラストも手掛けていらっしゃる宮田蒼氏。主人公となる「アクイラ1」ことアンリ・ギーツェン大尉を始めとして、駆逐艦乗り「マザーグース1」ことリーナ・テルヴォ中尉、以下どうでもいい僚機の野郎ども等をゲームイメージ化していただきました。
……開発中、こちらの何気ない無頓着な指定が忠実に&即座にイラスト化されていくのは物書きとして何物にも換えがたい快楽でしたね:) 本当にありがとうございます。
また国連軍部隊用ということで、降下中に表示されるコクピット・ダイアログの類も英語版を色々と指定させていただいたのですが、それが上の画像のように実際に「あのオルタの」画面として再現されたとき、いやもう二次創作の出としては思わず涙が出そうになってしまいましたよ、ホント。「うわ本物だ!(笑)」
なお「チキンダイバーズ」のようなオルタのサイドエピソードにつきましては、HobbyJAPANで連載中のTSFIAを含め、今後とも色々と展開していきたいなぁ……とアージュ様とは色々企画中でございますので、引き続き情報をお待ちいただければ幸いです。
……夏の本等々のお知らせは、また後日。
TSFIA #24 "Pissing Metals"この向こうに、極東の空に散った者達の、泥濘の海に果てた者達の、
この大地に眠る全ての者達の悲願がある───
先日のチキンゲーム化に引き続きマブラヴ・オルタネイティヴより。HobbyJAPANにて連載中のTSFIA、今週発売の9月号は「なにこのかいじんかっこいい」──強襲歩行攻撃機「海神」短編小説を書かせていただきました。
……一応フォローしときますと、海神は「わだつみ」と読みます、ハイ。
TSA-Type81、日本帝国海軍強襲歩行攻撃機A-6J「海神」。オルタ本編では甲21号作戦時の海中発艦や揚陸シーンで圧倒的な存在感を見せつけましたが、もちろん今回の物語も強襲揚陸。サブタイトルの「Pissing Metal」はマトリックス・レボリューションズ中のとある呟きより──規模こそ違えど、ひたすら弾をばら撒くあのAPUのイメージが如星にとっての「海神」。撃って撃って撃ちまくる、海神の真骨頂をお届けいたします。劇中には登場しなかった「海神に関する、とある設定」も登場しますのでお楽しみに。……この設定が正式に決まったときには心底萌えました。いやマジで。
なお、今回の舞台はあの「甲20号作戦」こと
神慮の機械・夏コミ本最新情報のご案内です。
先日「オルタネイティヴ・サマー」の一環としてご案内した「フライドチキンズ」によるマブラヴ・オルタネイティヴ小説同人誌、現在DDD氏、内田弘樹氏からの原稿も出揃い、入稿に向けて鋭意最終調整中です!
正式タイトルは「オルタネイティヴ・ストーリィ」、実力派のお二人+如星によるそれぞれのヒロインたちの物語、08/16(日)夏コミ3日目「東ポ-14a」にて刊行予定にて、今しばらくお待ちいただければ幸いです。
そして先日、先行してカバーイラストの入稿を完了しました。
今回のカバーイラストは前回の告知では未公開とした4人目の参戦者、蒔島梓氏です!! 「私が描いてしまえば良いのだろう?」の一言で参画いただいた鉄人に心よりの感謝を。
フロントを飾るのは拙作よりタイフーンを駆る『プリマドンナ』モニカ中尉、裏表紙側は内田氏作品からの『ウィスキー部隊』藤村少尉、そしてDDD氏作品からは異色の『機械化歩兵』直江上等兵と、3ヒロイン揃い踏みでのイラストを頂きました。重ねて、本当にありがとうございます。
なおブラクラ風デザイン(って背景ロゴだけですが)は完全に如星の趣味です。オルタとはまったく世界観も雰囲気も異なる作品ですが、鉄の女どもという観点では非常に共感するところであります(笑)。基本的に強いヒロインが好みな如星、その精神をカバーデザインに盛り込ませていただきました。
また縮小画像側をご覧いただければわかるかと思いますが、今回の『ネタ』は某文庫風の「帯つき」です。一発ネタなども盛り込んでおりますので、こちらは是非現物を確認していただければ幸いです:)
それでは、願わくば夏コミ現地にてお会いしましょう。他にもコピ本とか、作れるといいなー……。