VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.
死守! シシューッ!
今日の一滴="−−−−" (2005/07/26)
本日、無事夏コミ発行本「Fate/estate dolce」の全原稿を入稿完了いたしました。
……あ、危なかったです。毎度のことながら。今回は書く前よりも、書き進めていくうちにキャラクターに愛が芽生えていくと言う、執筆スケジュールからすれば大変恐ろしいパターンにはまっておりました。相変わらずの苦吟小説ですが、皆様にお楽しみいただければ幸いです。
それでは、ComicMarket68、3日目@東ケ-46aにてお会いしましょう!
……さて、酒に紅茶に甘い物、大航海Onlineに戻るとしますか:)
今日の一滴="−−−−" (2005/07/27)
日記も定常運転に戻したいなぁ、と思いつつ。七月がもうすぐ終わるけど、今月は原稿と、唯一浴衣で花火を見に行った日の記憶しか残っていない……。いや、ホントにそれ以外の記憶が曖昧なのである。恐るべし執筆迷宮。
というわけで、七月に少しはまっとうな記憶を残すべく、今日は前々から話を聞いていて、一度行ってみたかった「Club NYX」@銀座にて、ささやかな入稿完了祝賀メシと洒落込むことにした:)
そこそこお手軽な価格帯で、レベルの高いフランスの田舎料理を食わせてくれる店とのこと。如星は普段イタリアに偏っていてフレンチは全然門外漢なのだけど、クセの効いたメシが食えると聞いて否が応にも期待が高まる。サービスレベルもなかなかと聞いていたので、安心して原稿後の疲れた身体を癒しに行ってみた。特に精神的に疲れているときは、サービングの気持ちよさが欠けていると、普段にも増して気になってしまい全然楽しめないからね。
さて、実際に行ってみて驚いた。まず、内装はそのほとんどをアンティークで揃えているだけ事はあり、ドアノブの真鍮から扉の大きさ、壁紙、天井に渡された梁に至るまで、昔の建物そのままを使っているフィレンツェなどのホテルで感じられる安心感というか、奇を衒わず、無理に洗練されてもいない、落ち着いた雰囲気が感じられる。それこそ、壁一枚向こうに銀座中央通りがあるとは思えないほどに。
さて、本当の驚きはここからである:) キリリとした女性の方がテーブルを担当してくれたのだけど、またその方がしっかりとメニューに精通していて、こっちの質問や要望にも丁寧に答えてくれる。お仕着せのお勧め等ではなく、それこそウェイターの主観すら交えながら、一緒に今晩のメニューを相談できたのは久しぶり。真面目なトラットリア系(イタリアの概念だけど……フランスだとビストロ、ってことになるのかな)の店だというのがすぐに分かった。
そんなわけで、旺盛な食欲とも相談し、二人で前菜3皿にスープ、肉2皿という流れで組んでみた。モン・サン・ミシェルの沖で取れるという、アサリのように小さなムール貝の酒蒸しは、小ぶりならではの濃縮された味の詰まり方。炙ったポロ葱と生ハムの皿は、要するに「生ハムメロン」のように葱の甘さが楽しめる。そしてぶったまげたのが、豚肉の田舎風テリーヌ。大きな塊を持ってきて切り落として行ってくれるのだけど、粗挽の肉とレバーとハーブの組み合わせは、調和しつつ野性的という矛盾した表現しか思いつかない、迫力のお味であった。アクセントに練りこまれたピスタチオも小気味良くて、前菜とは思えぬ満足感が得られた。そしてスープも驚き。如星が頼んだのはコンソメ系の野菜スープなのだけど、味付けにブルーチーズが使ってある。クリームベースではない清湯系のスープとブルーの組み合わせがこんなに良かったなんて。
メインは鳩と子羊。如星が食べたのは鳩の方だけど、鳥からイメージされるパサついた感じは一切無く、かと言って脂でダレてもいない、ぷりぷりに締まった身が最高。ジビエのシーズンから外れた夏に、こんな「野趣」が食えるとは思わなかった。……と、その間に隣のテーブルにチーズのトレイが来ていて、こっちの面でも期待できることを確認:) 当然、フロマージュと酒で幸せの食後に突入である。
今回選んだのはエポワス、灰と塩で包んだ羊のチーズ、そしてローズマリーをまぶしたハードタイプの3種。そして今日は酒の面でも大当たり。グラッパ好きとして当然マールを頼んだのだけど、いくつか持ってきてもらった中から選んだのが右の写真、アルザスのマールである。ワインには弱くてあまり知識のない如星だけど、なんでもアルザスはワインとしても個性的な強さを持っているのだとか。このマールも、まず冷凍庫で冷やしておくというスタイル自体初めてだったし、そして何より、キンキンに冷やしてありながら、それでもなお葡萄の甘い香りがズドンと円柱のようにグラスの上に立ち昇っている。普段はフルーティーさより樽香の枯れた感じを好む如星だけど、このマールには脱帽。
最後はデザートにここの名物であるクレープで締め。ラムでフランベされた、チョコレートとバナナのバターソテーのクレープ──これも先ほどの女性のお勧めである:) たっぷりとしたラムに火をつけただけあって香りも強烈。これだけ山ほど食べた後でもまったく無理なくスルリと入ってしまった。最後のエスプレッソはおかわりをサービスしてもらって、まったりと幸せに今宵の食事を終了。
本当にインパクトのある料理がこれでもかという位押し寄せたけど、とにかくサービングが折り目正しくしっかりしていたのと、皿の間合いがキチンとゆったりしていて(食前酒からカフェまで3時間ちょいぐらい)、全然無理をしたという気分が無い。のんびりとお喋りを楽しみながら舌鼓を打つ。飲食の基本形をたっぷりと味合わせてもらった感じだ。何より特筆すべきは、このクオリティが銀座目抜き通りにある、それなりに席数も多い店で成されたと言うこと。これがちょっと裏通りにある5〜6テーブルぐらいの小さな店であれば、ある意味納得なのだ。この規模の店で、これだけの丁寧さを出せるのは本当に驚き。我々の席もちょっと別室めいた、目の届きにくい場所だったにも関わらず、まったくそれを感じさせないのである。──立地もよく、営業も深夜3時までやっているということで、実に使い出のある店を見つけてしまった。 最後はかのウェイター女史に下まで見送ってもらい、大満足で帰宅。ええ、これからも是が非でも贔屓にさせてもらいますとも:)
今日の一滴="マール・ド・アルザス" (2005/07/29)
先行時には一応感想を避けてたけど、今日原稿も終わったことだしと落ち着いて再観賞してきたので、改めて雑感などをつらつらと。
まずは、良いスターウォーズでした、と。全体がエピソード4以降に向けての伏線敷設のためにあるような、スターウォーズファンのための映画である。……スターウォーズに対し、それが良い映画か悪い映画かを問うのは無意味である。そこにあるのは、良いスターウォーズか、悪いスターウォーズかだけなのだ:) その観点からすれば、なかなかのスターウォーズでした。良い映画だったかどうかは分かりません(笑)。
実際、宇宙船やら戦闘車両一つ見るだけで「あ、これって反乱軍のアレ」「これってベイダー用戦闘機の原型?」みたいなネタで楽しめる人と、そうでない人では全然印象が違うと思う。ああ、普通の人は名前が出てくるまで、チューバッカの顔が識別できないのね……などと一緒に見た相方に聞いて思ったり。
ただ、その辺を割り増して(?)も、納得のいかない点が多かったのも確か。パルパーティンがああいう顔になるのは強引でも仕方ないとして(苦笑)。
帝国宣言があまりにも唐突で、前作まで結構丁寧に描けていた「合法的権力奪取図」が台無し。この印象は、大権付与動議等が観客に見えない裏で進行してたからかもしれないが……。もう少し丁寧な政治劇が欲しかったなぁ。(ちなみにここでも戸棚様は「第一(first)銀河帝国」という凄まじい訳をやってのけてくれました。何、第二でも決まってるの? 単に「初の(first)」という意味だろうに……)
マスター・ウィンドゥに押されてたのは演技だったとしても、ヨーダ・パルパーティン戦は明らかにヨーダが押してる様に見えたのだが……役者の演技が下手なだけだろうか。なんか下に落ちただけで敗北宣言してるしヨーダ様。ええええ。
ジェダイ皆殺し。おいおい、ジェダイは不意打ちに強いんじゃないのか? フォースの護りはどうしたの!? オビワンとヨーダしか残らないって……まぁ他に短期間で滅殺して辻褄合わせる方法がないとはいえ……。
アナキンは全身義体化しちゃったのでサイバーウェア埋め込みによりエッセンスが身体を流れるフォース(ミディ・クロリアン?)が減少し、皇帝に勝てなくなってしまったのです──ってのがパンフを読まないと分からないってのはどうなのよ。作品中では散々「ワシを越えるもの」みたいな扱いをしてたクセに。
まぁ、ありとあらゆる伏線を張らなきゃいけない縛りがある中で、よくやったと言うべきなのかも。脳味噌空っぽにして、主人公・ヨーダ様の動きに惚れるというのが正しい観賞スタイルな気がします:)
今日の一滴="−−−−" (2005/07/31)