VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.
最近の滂沱骨の車内広告とか見てると、こーゆー頭の悪そうな奴にはなりたくないなぁ、とか思ってしまうのは俺だけか。ひと頃前のTV携帯の時も「なんかサミしい 奴だなぁ」という印象だったのだが:p
映画マトリックスのような、直接脳処理バーチャル空間を描いたホーガンのSF「Realtime Interrupt」に、脳内映像処理が可能と聞いた研究スポンサーの一人が「素晴らしい!これで顧客の脳内に24時間広告が打てる!」と興奮して喚くとゆー、大変ブラックユーモアに溢れたシーンが登場する。なんか昨今のメディアやメーカーの「躍らさんかな」のスタイルを見てると、あのシーンが妙に重なって見えてしまうのですよ。
……と共に、あのシーンが何故ブラックか分からないお脳の辺りが素敵な人々が増えてたりしたら、などと考えてぞっとしたりもする今日この頃。
ちょっと前の話だけど、神林長平「魂の駆動体」読了。
読後に真っ先に浮かんだ台詞が「ああ、小説とは斯くあるべき哉」。最近読んだ小説が「小説未満」な「祈りの海」だったことも影響してるかもしれないが、それを割り引いても久々に「名作」と文句なしに銘打っていい一冊を読ませてもらった。本書はハヤカワ文庫JAという、SFと言うよりハードラノベ(?)な文庫に分類されているものの、骨太のSFの条件でもある「明確な世界観」と「そこに生きる人々ならではの物語」が描かれている。そしてSFでありながら、それこそ往年のクラークを思わせる強いテーマと高い物語性があり、クルマ好きのための趣味小説、なんて甘く見ているとカウンターで一撃死の勢いである(笑)。
神林長平といえば「戦闘妖精・雪風」が有名だ。斯くいう如星も今まで彼の作品はそれしか読んだことがなく、その「雪風」を読んだ限りでは、如星の中ではちょっと微妙な作家として認識されていた。個人的には大変面白い小説だったのだけど、特に空戦シーン等「戦闘機マニヤ以外置いてけぼり」というブッちぎり様で、同じく専門的な分野を説明台詞を感じさせることすらなく読み手に理解させてしまう谷甲州のような作家を知っている身としては、面白いけどアリなんかなー、という印象だったのだ。
しかししかし。本作は実に巧みなストーリーテリングを見せつけて、その印象を一瞬で吹き飛ばしてしまった。二部+エピローグからなる全体構成も、話の一貫性を保ちつつ、読み手の脳内をカチリと新鮮に切り替える巧さが表れているし、冒頭も「クルマ小説」と思って手に取った人が一見意外に思うほど無関係な話から始まるにも関わらず、文章の巧さで登場人物の価値観に引き込んでいる感じだ。 雪風で気になった専門的描写も、今回は車が対象だが、例え詳細が理解できずとも物語の理解には問題なく、それでいてクルマの雰囲気の醸成という役割はキッチリと果たせていて好印象。如星は車に激しく無知であるにも関わらず、である。
個人的には、第二部ラストの「飛翔」の表現には震えが来た。疾走するクルマ、音域を引き上げられてゆくエンジンの咆哮、振動───不意にそれらが一切無音となり、速度と魂の飛翔だけが残るかのような瞬間。小説中に無音の表現は無いけれど、そんな映像作品のワンシーンのような動画が脳内に展開された。巧いなぁ。
ともあれ、今更の寸評ではあるけれど、もしまだ未読の方がいるなら、SF好き、技術モノ好き、車好きのみならず、特に「何か一つのコトに打ち込む」という生き様に共感できる趣味人間などにも、迷わずお勧めできる一冊であった。もちろん前三者に合致する人は黙ってクリッコすべし:)
今日の一滴="紅茶:祁門特級" (2005/02/01)
レビューネタ引き続き。押井守「Avalon 灰色の貴婦人」読了。
イマイチ評判の良くない映画の方はまったく知らずに読了。とりあえず寸評としてまとめると、
……あ、言いたいことが終わってしまった(笑)。
とにかく、押井守ってこんだけ文章書けたんだ、というのが率直な感想。軍事ヲタの興味を惹く書き込み、王道といっても良いサイバーパンクな荒廃した世界観と、荒廃が日常化した人間模様。話の膨らませ方もじっくり確実で、実際途中まで実に楽しく読めていたのだ。
不安が差したのは、お、そろそろ導入部終わりかな、と思った時である。ふと手元の本に目をやると、もうページが半ばまで来ている。げ、残りの尺で本当にこの広げた風呂敷畳めるのかよ、と思っていたら案の定。後半、しかも表題にもなっている肝心の「灰色の貴婦人」が本格的に登場する辺りが、もう導入に失敗した初心者マスターのTPRGシナリオの如き(苦笑)強引巻き込まれ型。それまであれだけ念入りに書けていた戦闘シーンも、最終戦闘シーンは打ち切り2週前のジャンプの漫画のような進行で、大体鳴り物入りで登場した貴婦人は全然活躍しない裏切られっぷり。おまけに戦闘は唐突に終わり、あのエンディング。いや、謎を残したままのエンディングが悪いと言っているわけじゃない。あの意味深な終わりを描くのだったら、もう少し描写を丁寧に尺を使うべきだったと思うのだ。うーん、もしかして締切り問題に寄るモノなんだろうか、コレ。
というわけで、またしても素材は良かったのに、物語構成が小説未満で終わってしまった好例を引いてしまった感じだ。前回の「祈りの海」共々本書を薦めてくれたF君、面白いネタ帖だったけど次からは「小説」を薦めてください(笑)。
ぶどうさんのコールに乗って、横浜で気楽にモツ焼肉。 なんか色々ジビエ等食い損ねてたところでもあり、肉欲(違)抑え難い日々を過ごしてたので渡りに船である:)
メシ後、ふらっと濃いエスプレッソでも飲める場所は無いか……と思うんだけど、某芹の閉店以来そういう場所が横浜駅周辺に全然ない。そごう地下のデルソレはそごうと共に夜閉店しちゃうし、別にスタバでもいいんだけど混んでるし。というわけで、結局「一杯だけ」と鉄の誓いを立てた上で、Stonefreeへ。普段余り飲まないシェリー樽のマッカランを極上のシェーブルと共に、幸せの一杯を過ごしたのでありました:) とゆーか、バーで標準以上のチーズを出してくれる店の貴重さを改めて痛感。ワインとならともかく、都内でもあまりないものねぇ……。
今日の一滴="酒:マッカラン18年" (2005/02/03)
先々週胃腸系の風邪を引いたばかりだとゆーのに(風邪というよりノロウィルスだったっぽいが)、なんとまたしてもダウン。今度は微熱咳き込み系……。
かつて気管支炎をやった時に、風邪の他症状とは違って咳だけは薬で止めろと医者に教えられてたこともあり、速攻で医者に行って咳止め等を出してもらう。熱なんかは薬で無闇に下げるべきじゃない、下痢も無理に止めると却って長引いたりするけれど、咳は純粋に体力を果てしなく消耗するだけでいい事がないそうで、痰を吐き出すという効果も空咳の時はあまり意味がないし。おまけに長いこと咳き込み続けていると、金属疲労で肋骨にヒビが入ったりするそうである。骨もカルシウムという金属なのだと改めて認識。
また今年は高熱が出ないインフルエンザが流行っているようで、医者に行ったらインフルエンザ判定も受けることに(最近は10分ぐらいで判定できる模様)。看護婦さんに綿棒を鼻の穴に突っ込まれるとゆー素敵プレイを堪能した後、無事陰性と判明したので良かったのだけど……。皆さんも「ただの風邪」でも今年はキチンと医者に掛かった方がいいかもしれません。
ちなみに最近使い始めたこの医者、無駄に抗生物質出したりしないし、それでいて丁寧に症状聞いて薬を選んでくれる、なかなか良いトコロであります。予約がオンラインでできるってのも便利。医者をお勧めしてもしゃーないのだけど、お勧め(笑)。
今日の一滴="−−−−" (2005/02/08)
ネタにするなら、ネタにされる覚悟を持て。
ネタにした相手から抗議されたら、素直に詫びる覚悟を持て。
「たかがジョークなのに」なんて逃げを打つ奴は覚悟が足りない。パパとママの愛情が足りなかった卑怯者の豚娘だ。
だからと言って自虐にすればいいと思い込んでいる奴は、訓練された卑怯者の豚娘だ。
以上四箇条にビビってブラックジョークの一つも口にできない奴は、両生類のクソを掻き集めた程度な価値も無い。
いやさ、毒でも気が効いてるから諧謔になるのであって、気の効かねぇのはタダの出来の悪い皮肉と言うのですよ。大体ちょっと何か言われただけでひたすら自己弁護に走るよーな、覚悟のねぇ似非ブラックジョーカー多すぎ。
今日の一滴="−−−−" (2005/02/09)