MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一杯は心の器。ネタの一つは人生そのもの。

【2004-12-21-火】

【パクス・ロマーナ:両者の描写】

塩野七生「ローマ人の物語」シリーズ「パクス・ロマーナ」文庫版読了。

以前ハードカバーでは読んでたけど、文庫になったので改めて再読熟読。キリスト教徒でもなく、民主共和制に幻想も持っていない日本人作家ならでは視点は今回も健在である。ちょうどカエサル死後からアウグストゥスの死までが描かれ、パクス・ロマーナの基礎がどう固められていったかが良く分かる。軍縮と安全保障、税制、多文化包容の政策など、とても二千年前の国家とは思えない完成度で「国家運営の技術」が駆使される様は壮観ですらある。「ローマ帝政」が後世の「帝政」とは異なり、むしろ大統領制に近かった点もしっかりと強調されていた。

一方で、先月NHKスペシャルで「ローマ帝国」を三週特集してたのだが。

アフリカで完璧な形で発掘されたローマ時代の都市の映像、と聞いて期待してたのだけど、結果はダルダル。映像は楽しかったけど、正直映像だけでよかった。ローマ時代にローマの軍勢に「征服」された人々が、むしろ今でもローマ支配を誇っている──その語り口で始まった時にはイケるかも?と思ったが、その後はこれは二十年前のハリウッド製ですかと言わんばかりの、旧態依然とした「ローマ帝国史観」。今時切り口が「剣闘士」「パンとサーカス」「享楽の都ポンペイ」だと言えば判ってもらえるだろうか? とても曲がりなりにも塩野女史のローマ帝国本が本屋の一等地に積まれている現在の日本で流す番組とは思えない。

番組には北アフリカやイタリアのローマ史研究家が登場するのだけど、彼らも自分の発言をこんな断片的に繋ぎ合わされ、腰砕けの論調に使われてると知ったら驚くだろう。なんせこの番組内容を信じると、ヨーロッパ中の都市は「ローマに文化的な生活というアメを見せられてコロッといった」程度の連中になってしまう。現地の元々の統治構造を極力保持したケースバイケースの統治体制、安全保障と税制の微妙な組み合わせ、文化というアメなんてレベルではないインフラの重視──それらを一般人の興味を引く形で編纂するのが大変なのは判るけどさ、まさか一切放棄してしまうとは。お題目のように「異文化を包容する」「今にも通じる世界帝国の形」と連呼していたが、自らの作風がそれを皮相に見せてるんだから世話ない。

大体「パンとサーカス」というフレーズ自体、当時の風刺作家が自国を皮肉って産んだ言葉である。今で言うなら、2chのスレタイが二千年後にまで語られてしまっている状態なのだ。「属州からの税金でパンが保障されてたから、ローマ人は大して働かず享楽に耽った」なんていつの史観ですかい。ローマ時代の「パンの保障」は今で言う最低限の社会保障であり、ギリギリ飢えない位の小麦配布に過ぎず、それだけじゃ碌なメシにならないばかりか家賃等生活費だって払えない。今の日本で「年金や生活保護で食っていけるから働かず遊び歩ける」と言ってるようなモノだ。

一応Nスペの歴史物って事で期待してたんだけど、所詮NHKも海外との共同制作でないとダメダメなのか、と失望する作品でした。南無。

今日の一滴="−−−−" (2004/12/21)

【2004-12-24-金】

今日の一滴="−−−−" (2004/12/24)

【2004-12-28-火】

【最後の努力】

「ローマ人の物語」最新刊のタイトルではありません。……あのタイトル、ホント哀しさを感じますなぁ。

現在某所向けのコピ本発行に向けた最後の努力を敢行中です。明日朝一でKinko'sに行ければ……。明日は数年ぶりに、朝から行かないコミケ日になりそうです。明日は最強の腐女子日、泣ける鋼練本とかFF6本とか欲しいのに!(笑)

ちなみにPOPLS及び関美から余部印刷分が届きました。……うはー、相変わらず関美さんの発色は凄まじく綺麗です。るろお御大表紙もバッチリ映えております。乞う御期待。

それでは皆様、30日東館F-06bでお会いしましょう。See You on the Beach!

今日の一滴="−−−−" (2004/12/28)

【2004-12-29-水】

【the last minute works】

冬コミ1日目。

別サークルで執筆しているTPRGコピ本の製本状況と体力に鑑み、数年ぶりに「朝からコミケに行かない日」となる。なんだか寄る年波って言葉を感じなくもないが(汗)、実際この日は狙い撃ちしたかのような降雪日。流石に雪の中を朝から一般列に並ぶ余力はなかったのであります。……そこ、雪を言い訳にしたとか言わないように。

かろうじて昨晩刷り終えた原稿と、明日の当「神慮の機械」用POPデータを持って横浜Kinko'sへ。コミケ周辺はコピ本作成者が列を成している金庫だけど、流石に雪の早朝は空いていた:) さくっとコピ本の原稿を折り綴じ用に仕込んで印刷──最初にちょっと紙の向きや順番を考えておけばソートの手間すらなく、紙折りサービスに出してしまえばホチキス止めだけの状態で仕上がるのだ。最早社会人にとって金庫なしでのコピ本製本は考えられない(笑)。Kinko's様々。

コピー本の印刷を回している間にPCレンタル出力からるろお師匠の絵をデザインしたPOPを印刷、ついでにまゆにゃ絵を入れたペーパーの裁断も依頼。流石に何度もやってることなので、待ち時間を無駄にせずサクサクと。しかし本当に同人ステーションだなここは(笑)

【腐女子回路、開放】

刷り上がった原稿等を駅ロッカーに放り込み、午後からよーやく有明入り。今年は例年以上に綺麗に腐女子女性向けジャンルが集められた一日目だが、如星にしてみれば鋼錬や定番のFF6本をゲットできる年に二度の貴重な日なのだ。特に前回夏に若干買ってみた鋼錬本は女性向けらしく良質のストーリー傾向があり、今回は全力でヲヤジ万歳本、もといヒューズ本を探そうと、この身に落つる二十六の腐女子回路を全開にして進軍である。

しかし、男性向け創作に踏込む女性に較べ、腐女子ジャンルに足を踏み入れる男性については、受け手送り手双方が今ひとつまだ慣れていない気がする。まぁいわば女性の牙城に踏込むわけで、女性側に慣れてもらうためにも、男性側にもそれなりの配慮を持っててもらいたいなぁ、と思ったりするわけですよ。……と言っても所詮同人、同じ穴のムジナ同士。別に細かいお約束箇条があるわけでもなく、ポイントは2つだけだと思う。

  • オタクウェア厳禁。ただでさえ相手は男性が来ると戸惑うことがあるのだから、最低限の身繕いはしましょう。一応女性に会うんだぐらいの意識を持っといて損はないはず:)

    無論、汗臭さをばら撒いたり、湿ったお札を渡したり、スペースの前でブツブツ真言唱えたり、キモトークを売り子さんに向けたりしてはいけません……ってこれは何処のジャンルでも同じだし、そーゆー人がこんな所読むはずもないか(苦笑)

  • ハードやおい回避。元々高いストーリー性が好きで踏み込んだ男への強力地雷である……お互い気まずい思いをしたりするし。

    対策としては、まず女性向けは結構親切にPOPに傾向を書いててくれるので、そいつを良く見ること。後はジャンルのカップリング的に「元来のやおい」、つまりエロメインで物語性の低いタイプが多いペアがあったりするので、その辺を避けること。

最近女性向けは勢いがあるので、母数が増えると言う単純な理由によって「当たり」な作品も増えている。特に如星のように「泣ける話重視」な人間にとっては、漢泣きを誘う物語が結構埋まっていたりする。そういう作品を山の中から探すというのは、ある意味勢いのあるジャンルでしか味わえない醍醐味なのだ。

今日某所でヒュロイ本を立ち読んでいて思わず涙が浮かんでしまい、キモい人になりかけたのは秘密である。誤魔化せ誤魔化せ(笑)。……ともあれ、嗚呼、いい本に巡り合えるって最高ですな。

【最後の行軍】

会場は早々に引き上げ、明日の最終準備、コピ本折りに向けて帰還する。……が、りんかい線で信号機トラブルがあったらしく、14時半時点ですでに駅前に大行列。みぞれの中40分待たされた挙句、ホームに入っても30分電車が来ない……。会場から品川に出るだけで1時間半も消費し、すっかり消耗しきってヘロヘロになって帰宅。うーむ。

とまぁ泣き事を言ってもしゃーないので、後輩に手伝ってもらいつつ製本とPOP作り。Kinkoのおかげで格段に楽な上、二人いると二倍の速度で進むという当たり前の事実が非常に嬉しい。6時間掛かるものが3時間とかだからねぇ……。

今日の一滴="−−−−" (2004/12/29)

【2004-12-30-木】

今日の一滴="−−−−" (2004/12/30)

【2004-12-31-金】

【今年もお疲れ様でした】

今年の日記は今年中に、なんて思ってましたが全然無理でした。すんません。

ともあれ、まずは冬コミ参加された方、お疲れ様でした。当スペースにも色んな方に来ていただけて光栄です。皆さん意外とWebも見てらっしゃるんですねー。創作とは無関係な日記に書いた酒ネタなど振られると何となく嬉しくなってしまいます:) ……が、一方「相変わらず如星はいつもスペースにいない」というご指摘も。ハイ、その通りです(汗)。今回も午後はなるべくいるようにしたのですが、他イベントにあまり行けない癖に同人誌好きの如星、やはりコミケは貴重な収集日でして……。う、えと、次回から「この時間帯は必ずいる」という宣言を事前に出させていただこうかなー、とか考えてます。許してください_| ̄|〇

さておき、肝心の本の方についても、まずは小説本の最初の関門、「手に取っていただく」という点ではご好評を頂きました。ありがとうございます。もちろん次は、皆様が実際にお読みいただいた後、買った価値があったと言えるかどうか、ですね。つまらん!という感想でもお待ちしておりますので、よろしければお寄せくださいませ。正直、忌憚なく批評してくれる方というのは超貴重なのです:)

コミケ含む年末の日記は後日。そして今年自体もあと30分でおしまいですね。この一年間も本サイトをお読みくださった方々、お付き合いありがとうございました。来年も願わくば、よろしくお願いいたします。 ……ここも4年目に突入し、そろそろもう少しコンテンツを増やしていきたいモノです。気長にお待ちくださる方、愛してます心から(笑)

それでは、みなさま良いお年を。

今日の一滴="−−−−" (2004/12/31)

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