人類に恐るべき影響を及ぼす宗教がある。
論理的な神学を装いながら、その実、自らに不都合のある事実は全て耳を塞ぐか、異端と決めつけ排除に走る類の宗教である。かつては少数派であったのだが、人心が不安になるに乗じて急速に勢力を伸ばし、多数派となるや否や、自らの教義に従わぬものを断固排除に走り出した。
いみじくもマキアヴェッリの友人グイッチャルディーニが言ったように、神や宗教の類は「馬鹿どもの頭に、絶大なる影響力を持っている」のである。この宗教は愛、優しさに満ちた題目を唱えながら、実際には恐怖を持って世に臨んだ。人間の為すことは全て罪に満ち溢れ、これを教理に寄って正さねば地獄が貴様らの上に訪れる、と。この思想は瞬く間に大衆を縛り上げ、大衆自身の意思を以って彼ら自身を信仰者へと仕立て上げた。
そして多数の馬鹿どもに限りなく弱い政府へのこの宗教の浸透は早く、その宗教は短期間の間に政教一致を成し遂げた。今や政府の名の元に神に捧げる税金が取られ、宗教的な行為を法で強要される。大衆はもちろんそれを神の正義に基づく行為であると諸手を上げて歓迎した。信仰者は言う、我々は自分の利益などどうでも良いのだと。我々は単に天に、そして我らの子孫に宝を積むのだと。教理に基づいて生きるものは幸いであり、逆に現世での幸福を唱えたり、人間の可能性を信じたりといった利己的な主張をする貴様らは地獄を招くのだと。
かくて、この宗教による支配は完成した。この宗教が論理的で、人類を繁栄に導くモノであればまったく問題はないのだが、その検証は今や倫理という枷に縛られる。そして人は相変わらずも、例えば子供に宗教に基づく、だが現実にはまったく無意味な行動を取らせては、模範的な子供だと称える日々を送るのだ。
ちなみに、この宗教の名を「グリーン教」と言う。
今日の一滴="−−−−" (2004/11/08)
まだ火曜日だと言うのに、会社帰りにマリアージュ・フレール@銀座でお茶。久々に外で「折り目正しい」紅茶をいただく──選んだ茶葉も「プリンス・ボーディダルマ」。この雲南とダージリンのブレンドは、一般的にイメージされる「いかにも紅茶」の味と香りをそのまま洗練されたレベルにまで高めたような、マリアージュのブレンド技術の真骨頂が遺憾なく発揮された紅茶である。まさに折り目正しい、という形容詞がぴたりと当てはまる:)
この日の行程表はこの辺りから見ていただくとして、そう、リンク先の柚帆女史の日記にもあるけれど、今日は火曜日と言うことで、自分を含む総員が「若干油断した」服装だったのには思わず苦笑してしまった。今日は週中でも週末でもなく、むしろ月曜日よりも「職場以外誰に会うわけでもなし」とタカをくくる日、それが火曜日。ほら、ローテーションの中でもちょっとヘタレた靴を履いてくとか、客にも会わないから手持ちの一番安いスーツ着てこうとか、急いで適当にネクタイ引っつかんだけど別に今日はいいかぁ、とか、そういう時ってのは必ずあるもの。しかし古来マーフィーの法則は、その油断が発生した日は、必ず誰かとオフで会う羽目になる事実を示唆している(笑)。
まぁともあれ、茶屋→軽くバーで一杯&つまみ→路上台湾メシ屋で汁蕎麦や豚足で締め、という流れはあまりに見事に決まりすぎていて、後半2店舗をスルリと持ちネタから持ち出してきたぶどう氏に素直に感服。突発的な集まりの時に最適なコンビネーションでカードを切るには、やっぱり手持ちストックの量と、あと当然カード選択のセンスが問われるわけで。銀座新橋を地場にしている氏の底力を見た気分である:)
一応、定期更新復活宣言。ずっと何かを書く気分でない状態が続いてましたが、咳き込みまくりだったエンジンもようやく回転数が安定して上がってきました:)
今日の一滴="酒:余市シングルカスク1988年" (2004/11/09)
トップでも告知しましたがご報告までに、当「神慮の機械」も冬コミに当選いたしました。
ComicMarket67@12/30(木)、東F-06aにてお待ちしております。
正直、今回の冬は発行物がないのでは、という恐れを夏コミ以来抱いていました。Fateジャンルで書き続ける自信が持てなかった事、またそれ故に、書きたいという思いよりもコミケが来るから書かなきゃ、という思いが変な重圧になっていたこと(趣味でやってることなのに我ながらおかしな話ですよねぇ)、ここの日記を含めて、物を書くという事に若干倦んだような気分。ありがたいことに夏本の再版を求めてくださる方もいらっしゃるのですが、年に二回しかイベントに出ないのに新刊無しで参加するというのは、なんとも惰性の産物のようで嫌だったというのもあり。
結論から言うと、吹っ切れました。書きたいものを書いてやりたいようにやる。……この台詞の後には「簡単な様で……何と難しい事……」
と続くわけですが(苦笑)。ま、無理にFateの活劇風な面を追わず、今まで通りの「如星節」をやらせていただこう──そんな塩梅で考えていたところ、するりと次回作のプロットが浮かび、無事(?)冬の執筆を開始しました。乞う御期待、というよりは、乞う完成祈願、というところですけどね!
ちなみにイリヤさんシリアス&空の境界クロスオーバー風味本予定です。信頼度はジャンプの次回予告程度ってトコですが。
しかしそれでも、FateについてはどうもWeb短編の公開には至りませんね……。
逆を言えば、曲がりなりにもアレだけのWeb短編を私に公開させた「君望」という作品は、実に恐ろしいパワーがあった、という事であり、そしてFate/staynightからはそのエネルギーを得られていない、ということなんですが。 もちろん、これは「Fateが君望よりつまらない」という意味ではありません。 君望はそのシナリオの性格上、自分の過去の経験に結び付けての没入という強烈な反則技(?)を持っており、そこが如星の琴線を殴りつけて数年間響かせ続けるに至ったわけで。特に立上げ初期は、書くことで「溢れる」ものを「抑える」って感じでしたねー。
ちなみに今更、君望短編を新しく読みたいって方はいらっしゃるんでしょうかね? 長く温め続け過ぎてそろそろ揮発しそうな君望短編ネタ、どうも書き出す踏ん切りがつかないままなんですが……。ええ、貴方の一言が如星のケツを押すかもしれませんよ:) 少なくとも如星にとっては、「誰かがそこにいる」、というのは最高のモチベーションの一つですから。(だからこそ、コミケでは本を出そうと思うんでしょうね)
今日の一滴="−−−−" (2004/11/10)
帰り際にoazo@東京で相方と待ち合わせて晩飯にして、帰りは定番の如くドゥバイヨルで晩酌モルト用チョコ買って帰宅。
しかしオアゾ、向こうの狙い通りに(?)使いやすいねぇ。東京駅を基点に通勤してる人は割りと多いので待ち合わせにも便利だし、またその「ちょっと帰りに」というニーズを満たせる店が揃っている感じ。無駄に高級志向ちうのでもない辺りがポイント高い。そして前回も書いたけど、改めて見ても、やっぱり外観・建築デザイン的にもこっちの「方」がハマってるよなぁ、という印象だ。無論、丸ビルと較べてのこと。2年前のオープン時にも書いたけど、向こうは東京駅の前に建ってるにしては芸がなさ過ぎる。オフィスエントランス側に残しているフランク・ロイド・ライトのデザインをもっと前面に押し立てればよかったのになぁ……。中の店舗も地下の食品街・オフィス向けランチエリア以外は微妙に使い勝手が悪いし。例のベトナムフレンチの店等、いいバランスの店もキチンとあることにはあるんだけどね。
そういえば昨日君望の話が出たついでに。
もう4ヶ月以上前に出た「スペシャルファンディスク」についてですが、如星は一切買ってもプレイしてもいません。噂の「if」を前提にした第一章が売りらしいですが……今更ながら、君望熱愛物書きとして言わせてもらうならば、あれは本家がやってはいけない類の「if」だったんではないかなぁ、と思いますね。
確かにWeb上の評判を見ていると、ファンディスクとしては及第点、シナリオも楽しめたという声が多いのは分かっているんですが、そりゃあ楽屋ネタの切り売りは楽しいよ、というか。この世に歴史系のif物、架空戦記のさらなるif物等があるのを見ても、それが楽しいし、求められてるしというのはわかるんです。が、それは同人等で楽しめばよい類のモノであって、「あの日こうしていたら」という君望第二章の全員の願いを「本家」自身が叶えてしまうのは、本編で遙の語った、「還していい時間など、ないのだ」というテーマを自ら汚すようなものじゃないでしょうか。Fateに例えるならば、セイバールートで「聖杯であの願いを叶えてしまった」話を描き、かつグッドエンド扱いするような感じですかね。
ちなみに私の大好きな「銀英の二次創作小説」では、誰もが夢見る「あの」ifを実行していながら、その手のifモノにありがちなご都合ハッピーシナリオではなく、むしろifの無かった本編の方がある意味幸せだったのではという、厳しい、それ故に実に楽しめる小説を仕立て上げている方がいらっしゃいます。まぁ君望ifにそこまでを求めているわけではありませんが、どっちかと言えば「あの日」が無かったら、所詮高校生カプールなんていずれ別れていた、という方がありそうなもんですがね:)
ああ、今度出るという話の「マブラヴサプリメント」の方は、あの内容の続きと値段を較べてしまうと、まったく買う気が起きてませんので念の為(w)。オルタネイティヴについてもこれだけ引っ張ったわけで、方向性からしても当然評価は真っ当なSF系戦記モノの土俵で行われますんで、まぁ相当良いものを出してもらわないと納得できませんなー。
今日の一滴="−−−−" (2004/11/11)