MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一杯は心の器。ネタの一つは人生そのもの。

【2004-04-01-木】

【たまには時事ネタ】

六本木ヒルズの回転ドアに六歳児が挟まれ死亡した事故について

ま、六本木ヒルズの構造自体、前々から「使用者のことをまるで考えてない」、建築デザイナーの自慰設計の結晶だと思っていたので、今回の一件は(薬と呼べるほど軽くないことは承知だが)良い薬、ユーザビリティ、アクセシビリティなる単語を第一に考えず「芸術・先進性」に走ったツケであろう、とは思う。件の大回転扉だって、手動のモノならまだしも、ありゃほとんど大鎌である。つい先日も間が取りにくいなぁ、と感じたばかり。

しかし今回の一連のヒステリックな扱いを見ていると、おいおいと思わざるを得ない。先の国民年金未納者を年金広告に使った件でもそうだけど、なんつーか「著名なるモノを生贄にして煽りまくる(そしてそれで稼ぐ)という構造がテンプレートのように展開されて、しかも国民が見事にそれに乗り切る、という日々が続いている気がしてならない。なんかこう「尊師マンセー!」と虚ろな瞳で叫ぶ構図と何が違うのか、と考えると薄ら寒い。

今回の回転扉にしたって、親の監督責任という言葉がまるで出てこないのはどういうことだろう? すぐ側にいたという親は一体何をしていたのか。世の中回転扉より危険なモノは街中に満ち満ちている──それらを子供の判断力を基準に廃止したりはしないわけで、例えば駅のホームの端から落ちないようにするのも、赤信号で飛び出さないようにするのも、似たようなモンだと思うのだが。「自分が行きたい」という理由だけで子供をあちこち連れまわす、連れて行った後は散漫に放置、なんて状況をよく目にするだけに、なぁ。

あの大回転扉は「駅のホーム」や「横断歩道」ほど必然性はなく、廃止しちまうことにまったく異論はないのだけど、今回の煽り方はちょっと異常だなー、というのが正直な感想なのだ。

【フォローアップ】

先週末分等ふにふにと更新。

【新ネタ公開】

ふー、相変わらずギリギリで間に合いました。如星の悪い癖ですねぇ(苦笑)

というわけで先日若干触れた新作、「テニスの王子様」短編小説「河面に堕つるは君の紅涙」を公開いたしました。君望短編から数ヶ月、ようやくの新ジャンル展開です。

ちなみに乾海系です。また18禁ではありませんが一部女性向の表現がございますので、そのような表現に抵抗のある方は閲覧をご遠慮ください。よろしくお願いいたします。

今日の一滴="−−−−" (2004/04/01)

【2004-04-02-金】

【戦慄】

昨日、一応エイプリルフールネタで掲載した「テニプリ短編公開」ですが、再度ここにて明記しておきますと、あれはネタです。ボイーズ読むのに抵抗はないし心理描写とか好きですが、そもそも自分じゃ書けませんですし。ハイ。乾先輩は好きです。何。

と、わざわざ断り書きを入れたのには訳があります。……本日久しぶりにアクセスログなぞを眺めてみたのですが、なんだか当該日記のヒット数に比べ、実際のネタ短編のヒット数は非常に少ないのです。それってつまり、本当に801な小説だと思ってクリック回避されてるのでは、と……(((( ;゚Д゚)))

ネタですよ! ジョークですからね!?

【また俺は騙されたわけだが……】

ちなみに昨日は、Web上では3件ほど騙されました(この場合の「騙された」の定義は、10秒以上ネタだと見抜けなかった場合を指します)。見事に。

やはり「普通そこはネタだと思わないだろ」という個所で、巧く真実も織り交ぜて嘘をかまされると、分かっていてもついつい騙されてしまいますね。それが逆に、騙される快感ともなるので非常に楽しいのです:) ……逆に最初からネタだと分かった状態で偽記事等作られても、Web黎明期ならともかく、今やなんとなくウンザリされてるのに気づかず、使い古された宴会芸を連発している状態にも似ている気がします。ストレートなジョークってのは、お笑いの本職ならざる素人が作っても、やはり今ひとつ面白くならないのですよ。某Watchとかね。

七割の真実と三割の虚構。それはエイプリルフールのみならず、やはり嘘をつく時の定石ですな:)

【王道正道】

ゆきのん氏に赤福をお土産にもらいました:) しかし出張の度にキチンとみんなにお土産を買ってくる彼はマメですなー。流石は暗躍王。うん。モノくれる人はいい人だ。

赤福といえば日持ちしない和菓子ゆえ、新幹線直送の幸せを逃さぬよう即日実食。こういう時に、自宅にいい緑茶があるってのもいいね。餡子の甘みにはやはり爽やかな渋みが欲しいわけで、今まで合わせていた涌渓火青の香ばしさや、あるいは渋みと言えば王道のダージリンも悪くはない。しかしやはり日本緑茶の青臭さは、餡特有の「甘苦さ」にピタリと合う。個人的には和菓子+紅茶も普通に推している身だけれど、こういう正道たる選択肢が自宅のストックに増えたのは喜ばしい:)

今日の一滴="緑茶:静岡川根煎茶" (2004/04/02)

【2004-04-03-土】

【眺桜踏青】

天気に恵まれ相方と花見花見。

実は、桜の下に陣取るというタイプの花見をするのは実に久しぶり。元々「宴会」が好きではないので、桜と言えば何処ぞに行きがてら名所を散歩、というのが例年だったのだ。酔っ払いや馬鹿騒ぎは嫌いだし。……と言っていたら、新宿の御苑は一応建前上酒の持込が禁止で、ビール程度ならまぁ黙認されつつも、大酒食らって騒ぐ連中はいないとのこと。というわけで、花見というよりはピクニック気分で出撃。弁当見繕い、デザートを忘れず、水出しの中国青茶を欠かさずに。

先週、「今週末は雨」と言われて駆け込み花見をした人々に申し訳なくなるくらいの快晴。実に花見日よりである。実際御苑は凄い人出だったけど、陣取りスペースも豊富なので混んではいるけど不快ではなく。二人連れは大変省スペースなので、さくりと満開の桜を望む位置に陣取り、ママーリと腹ごしらえ。青空と桜の下で飲む、香り高き水出し桂花香は酒に勝るとも劣らず。んー、幸せ。

この人出を見ていると、まぁ現代人とは言えど外の空気が好きなんだなぁ、と実感する:) 中国ではこういう春の浮かれたお出掛けを「踏青」というのだとか。青を踏むとは、なかなか気の利いた表現である。春くれば士女打ち連れて嬉遊す──漢詩風の表現だけど、何処となく「エマ」に出てきたイギリス貴族の「春のせせらぎ聞こえたら〜」を思い出す。人の営みに東西の区別なし、といったところか:)

愛ってなんだろうニャ。如星的手生出演。

【仕入れ失敗、でも愉し】

御苑の帰りがてら青山ティーファクトリーに寄る。先日訪れた際に、「大当たりヌワラエリヤ」をスリランカで仕入れてきた事、その頃船便で航行中で、四月頃には出せるかな〜、と言っていたので、期待を込めての仕入れ&茶飲みに。あのオヤジさんがまるでジャスミンのようと謳う茶、興味のないわけがない:)

……が、なんと言ってみると通関で二週間足止めを食っており、まだ未着なのだとか。昨日も港湾の役人とやりあって来たらしく、連中は仕事する気あんのか!とお怒り(でもいつもの笑顔)のご様子でした。うーむ。

というわけで、今日もふつーにお茶を頼み、季節モノのストロベリーワッフルなどを堪能してたのだけど、ヌワラがなかった事で如星から傍目に分かるほどのしょんぼりオーラが出ていたらしく、見かねたおっちゃんが帰りがけに「あんま旨くないけどね、繋ぎに」と言いながらウバをくれましたとさ。いや茶も旨いし甘味も旨いしで来店自体は全然満足してるんですが。

茶好きのご配慮痛み入る……(つд`;

今日の一滴="青茶:桂花香" (2004/04/03)

【2004-04-04-日】

【one by one】

溜まっていた読後/鑑賞後コメントを端から片付けて行きやしょう。全然時系列ではないのでよろしく:)

【インノチェンツォ・モザイク】

トップバッターは映画「イノセント」から。攻殻機動隊映画の続編にして、押井守作品である。──といっても如星は押井作品ファンというわけではないので、そっち方面の視点は欠けています。その点ご留意を。

さてこの映画、視聴前提条件が結構微妙である。タイトルこそ変わっていれど、原作とは微妙にずれた「映画版攻殻機動隊」の続編である以上、映画は見ておいたほうが良い。ところが、この映画は士郎正宗原作の「1」「1.5」「2」の全てからの引用で構築された、モザイク状の作品なのである。よって映画全体を最高に面白くするためには、結局「人形使い事件」の登場する既存の攻殻作品全て(要するに除くテレビ版「SAC」)を見ていた方が良いのだ。要するに攻殻ファンの為の映画といっても良いのだけど、さも一般人(?)でも普通に見られるとでも言うような広告は、その、いかがなものかと(苦笑)

というわけで、まず全体的な感想は「莫大な金を掛けた同人的二次創作であり、あるいは攻殻という素材で監督のやりたい放題カマした作品」である。ちなみに誉め言葉です。巧く表現を繕うなら「攻殻をモチーフにした映像作品」かな。とにかくほぼ全シーンが既存攻殻の何処かからの引用なのだ──一瞬、公式ならここまでパクり風味でもOKなのか、などという俗な感想が湧いてくる。で、それら既存攻殻のモザイクを潤沢に使った上に、明確な独自メッセージである「人形観」を、非常に寸を詰めて乗せているのだ。例えるなら、攻殻という巨大な上等の肉を焼いて、その中心のレア部分だけにスパイスを振って食べるような感覚か。一応自身二次創作屋である身としても、こういう手法は大変好みである:)

それからもう一つ、この映画は別の意味でも「引用映画」である。まるで人が脳内googleを実装するとこうなるのか、といった風情で、登場人物が軒並み「外部記憶」を利用し、史書やら文学作品、聖書からの引用でバシバシ喋りまくるのだ。同じく「名言」で語らせる佐藤大輔御大作品に慣れているとよく分かるのだけど、登場人物が「完全に自己のものとした言葉」で引用台詞を吐いているのとはまったく異なる、あたかもチャット上で咄嗟にgoogleして名台詞を探し出してきているような、そんな違和感もキチンと映画内では描けている。……と同時に、この引用まみれの台詞集は、攻殻シリーズ全体に通じる命題の一つをこの作品独自の面から語っているのも確かである。すなわち、人が記憶を外部に持つようになったとき、果たして「自己」と「他者」の境界線は何処に引けるのか──。ま、いずれにせよ小難しい引用が大好きな現代のヲタクには、大変ツボに入る点だろうとも思うのだけど。

ともあれ、上記二点を見るだけでも、大変ヲタク向けの映画である。確かに、映像は大変素晴らしい。ここまで極めてくれれば、それ単体で美しい鑑賞の対象となり得ることも証明してくれた(映画版FFがコケたのは、努力が足りなかったからだ、とも言える:p、是非とも大スクリーンで見たい作品である。しかし……多分普通に「流行のアニメCG映画」というような宣伝の結果として見に来た普通の人は、さっぱりと後方200m以遠に置いていかれてしまったであろう。うーむ。

商業作品がそれでいいのか、とも思ったけど、考えてみればルネサンスの昔から、正しい芸術家の才能の一つには「いかにパトロンの金を引き出しつつ好き勝手やるか」という点が含まれているのであった。配給サイドがどういう思惑でこの映画をリリースしたかは不明だけど、言えることは一つ──宮崎駿なんぞも同じだが──巨額の商業金を使い、こんだけ好き放題やってのけた押井守の一本勝ち。や、これで商業的に当たってるならいいんだけどね。

追伸:あ、肝心の人形観には一言も触れずじまいだ(w)。ま、正直如星は人形好きではないのでこの辺で。

今日の一滴="−−−−" (2004/04/04)

【2004-04-05-月】

【リスタート】

これを書いてるのは04/13(月)、端から片付けていくと言いつつ一週間空いてしまいました。うーむ。

次にいい加減「Fate/staynight」の真面目なレビューをすべきところだけど、いきなり怒涛の記述量が予想されるモノを書いても息切れしそうである。というわけで、簡便なネタから再開しましょう。

【ワード・オブ・クロニクル】

というわけでラノベ、川上稔「終わりのクロニクル(1)」読了。

現代超常能力モノという、言ってみればありがちな舞台。しかも本書の直前に読んでいたのが大作にして名訳のSF「知性化の嵐」だったり、伝奇モノとしても大御所「Fate」プレイ直後だったりと、日本語レベル、ストーリーの両面から見ても、「こりゃ評価が辛くなるかな」と覚悟して読み始めた作品である。

ところがどっこい、なかなかにお手軽な娯楽として楽しめました。 確かに日本語文章としてはだいぶ拙さを感じる部分も多いのだけど、一種独特の書き回しは慣れてくれば心地よい。独特の書き回しにもう少し巧緻さが加われば、奈須きのこのように一皮向けそうな雰囲気である。また全体の肝となる多々の戦闘シーンについては、現代舞台というコトもあり、情景空想からBGMに至るまで「Fate」のソレを浮かべながら読むことで、かなりのめり込めてしまったのも確かである。……うーむ、想像してたのとは逆の方向で、正当な評価とは言い難い読み方になってしまったが(苦笑)

#どうでもいいけど姓と名の間に中黒(・)を打ってるのは何故ですか先生。読点が泣けるほど多い西村京太郎の小説みたいに(w)、読んでいてカクカク引っ掛かってすげー気になってしまいました。これは「文章の個性」じゃなくて「邪道」では……(そしてそれを止めない編集も素敵過ぎ)

上記2点を除いても、ギャグとシリアスのバランスはいいし、複数視点でのシーン展開にも無理はない。エンターテイメントとしては十分及第レベルである。ただ惜しむらくは、他の凡百大量生産ラノベよりはマシとはいえ、それでも説明台詞が多いのは気になる。また純粋にストーリー面でも、前半で感じられていた「悪役」を任じる主人公の「魅力」が、中盤で迷いの中に埋没していくのはまだ良いとしても、後半で辿り着く結論が随分安直と言うか、書き込みが足りておらず、いわば主役不在に近い状態になってしまっているのは気になるトコロだ。

以上、今後の話の展開等も加味すると、続編を買うかは微妙な線ではあるけれど、とりあえずサクっと買って読むには良いラノベでありました。

今日の一滴="−−−−" (2004/04/05)

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