【呑み屋談義的外交判断】

北朝鮮との拉致被害問題というのは、言うまでも無いことだけど、実に微妙な外交問題である。無論被害者個人で解決できる問題でも、個人の問題でもない。自国民を守るのは国家の第一義的要件である以上、国家が速やかに解決すべき問題である。無論、解決は単純な話ではない。あの「ソフトランディングは不可能」と言われた北朝鮮問題と密接に絡んでいるし、おまけに韓国やら中国まで関わってくる、外交の精緻とはかくやと言わんばかりの舵取りを必要とされる状況だ──とまぁ、こんな事はメディアやらネットやらで無限に語られているコトなので、それはそれでよし。

俺が最近の拉致問題でよく分からんのは、それだけ外交に巧緻が求められる複雑な問題で、どうして民間のドシロウトである被害者家族の意見を尊重せねばならんのか、ということである。そりゃ下手糞の極みと言われた日本政府の外交だけど、それでも私個人の判断がそれに勝るとは到底思えない。上にも書いたように、事は既に個人の範疇を超えた国家的問題である。自分の家族だという気持ちもわかるし、長い間国がてんで相手にしてこなかったという「前科」も汲めるのだが、政治的に解決する方向にここまで「転がり出させる」ことに成功したのなら、これ以上は事をややこしくするだけだと思うんだがなぁ。今回の「北京再会」の騒動も、これまた複雑なお国・中国なんてのも絡んでいる話を引っ掻き回さなくてもいいだろうに。またそこに「国民の意見」にエエ顔売りたい政治家が載って政局にしちまうんだから、救いようがないと言えば無いんだが。

甲子園のジャッジをスタンドの多数決で決めようと言う人はいないし、前線兵士の希望で判断を下す指揮官なんてのも存在しない。ところが外交やら政治の話になると、途端に誰しもが「自分が最高の解決策を知っている」と言い出すのは、こりゃアテナイ以来の民主主義の通弊と言うべきか:p

【夏コミ当選しました】

さてご報告が遅くなりましたが、当「神慮の機械」も無事夏コミ当選しました。3日目東F-41b、Fateスペースにて皆様のお越しをお待ちいたしております。

いやー、神慮の機械としては初めての君望以外での参加です。新ジャンルの勝手も分からずドキドキしている上に、当落発表までにレビューと短編でも一本……と思っていたのに全然書けていない始末。ま、レビューはともかく、短編はこれがなかなかに難しいことが分かって来たのですが……自分の書きたい方向性がいまいち掴めてないのですね。先日の「月読宴」一般参加も、他の方の作品を本格的に漁って自身に道をつけねば、という焦りもあったわけですし。

しかし、やはり目に見えたゴールが見えてくると、俄然掛かってくるエンジンの馬力も違いますな（苦笑）。同人作品による起爆剤も脳内注入し、本作りに向けて邁進開始です。……レビューについても、アイディアブラウズを兼ねて、この週末で上げたいなぁ、というところです。

ただFateの場合、今のところ身近に「熱く語れる」相手がいないのも、実は悩みだったりします。オンラインで語るのもいいんですけど、やっぱりオフラインでアイディアブラウズできると幸せなんですけどね……。アニスのオールナイト辺りで一杯おごりますんで、どなたか、どうすか（笑）。

【酒飲みの幸せ】

某石にて、２回目となる「サロンの開栓会」に呼ばれたので行ってきました。

今回のサロンは95年のモノ。95年以来このヴィンテージは作られていないらしく、いわば「最も若い」ヴィンテージというわけだ。前回の90年は非常に濃厚な、クセがあるとすら言える深みがあったけど、こちら95年はすっきりとキレがあって飲みやすい。すっきりとは言っても、飲んだ後に喉の奥から立ち昇る香りには、しばし放心するほどな芳醇さが。……一緒に飲んだ数名、揃って無言になってしまった辺りが、この旨さを表してると言えよう（笑）。

ワイン・シャンパン等の醸造酒に弱く、飲みつけていないが故に、前回は「果たして俺が飲んで良いものだったか」とすら思ってしまったけれど、今回は隅々まで悔いなく堪能した感じだ。別に如星は「飲みやすい」ことに重きは置かないので（個性派好きじゃなきゃアイラなんて飲んでません）、これは自分の舌のレセプタ側が一応は向上したってことなんだろーか。いやー、旨い物は旨いよ、やっぱり:)

かくも幸せな酒を飲み、またシャンパーニュ地方のウォッシュ等の絶妙なつまみを食らい、締めには方向を変えて、アイラのカリラなど。一緒の三人、同じ酒を飲んで同じ物を食べたのに、シャンパン後の締めの一杯には同じウィスキーながら三者三様だった辺りが面白い。鼻に抜ける磯臭さを楽しみながら、「ああ酒飲みで良かった」としみじみ呟いてしまう、そんな至福。