MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一杯は心の器。ネタの一つは人生そのもの。

【2004-05-22-土】

【追いかけすぎて2週間】

例によって日記が書けていない如星ですこんばんは。

ちょっと最近の書けなさすぎは相当マズいレベルに到達しています。いわゆる「ながら消滅」の危機。うーん、マズい。一応書くネタが無いのではなく、書こうとまとめている内に日が流れてしまって書きづらくなるの繰り返しなのですが、それはつまり真面目にネタを文章に変換する時間を取っていないという事実の表れなのであります。うーむ。

というわけで、もう少し日々思ったことを中心にして、日記を再生して文章を書く癖を取り戻さなきゃなぁ、と思っております。……読書・ゲーム感想系の文章を日記の中でやるというのは、ちょっと回ってないような気もしてきた今日この頃。本当は「日記に書いて、抜粋リンクを別ページにまとめる」なんて案を大元にしてるんですが、レビューページなんて年単位で放置中であります。……やはり「自分のやる気」などという当てにできないものに頼らず、もっと簡単に更新できる仕組みは必要なのかもしれません──参加者に高い意識、やる気を求めるシステムは失敗するのです、ウム。何気なく利己的な意識でいると回るのが正しいシステムのあり方なのです(……なんて言い訳がましい(w)

とはいえ、日記本体自体は、自分が使い込みに使い込んだ自作更新システムなので気楽なのです。が、完全独自ゆえに、それを外と連携させるという点で非常に弱いのが問題かもしれません。とすると解決策としては

  1. 外部の日記システム/blog系システムを使う
  2. 自前でゴリゴリとコンテンツ再利用系のシステムを組む

という2つが考えられるのですが……。まず後者、自前というのは、前述の「俺的やる気」に掛かっているのでダメダメです(苦笑)。一方前者、まずただの日記公開システムなら、自前で十分なので不要。またここでいう「外との連携」とは、あくまで日記以外のコンテンツとの連携。別に如星はトラックバック等に興味は持っていないので、blogというのも当てはまらなさそうです。どちらかと言えば、各日記のアイテムをカテゴリ分けし、別でリンクとしてまとめている日記システムが理想に近そうですが……他サイトを見ていて感心する作りのモノは、大抵自作自前モノなんですよね、これが。また公開パッケージモノの多くは「ブラウザフォームで更新」なので、あの最低最悪の「エディタ」である「ブラウザ」を使うという時点で大却下であります。

……うーん、こんなモン書いている暇があったら、こまめに日記を更新して「堂々日記がメインコンテンツ」と言い切れれば問題ない気もしてきました。激しくオチなし。

本当のメインコンテンツである小説はどうした俺。

今日の一滴="紅茶:ピュッタボン SFTGFOP1 04-DJ27" (2004/05/22)

【2004-05-23-日】

【ティータイム・キャンペーン】

書きたいことを書くぜ週間施行中。

というわけで、今日は柚帆さん同志ふくぞー、相方を交えて青山ティーファクトリーへ。極上の紅茶を楽しみつつ、一方で気張らずに済むので、だらだらと喋っているには最高の場所なのである:) ま、だからこそ、余人を誘いたくない場所でもある──曰く、一人で飲むお茶は一人で飲む茶、二人で飲むお茶は二人で飲む茶、でも三人で飲むお茶はパーティーである、と。内輪のお茶会こそは、酒飲みに取ってのバーのサシ飲みにも似て、紅茶飲みの至福のひと時と言えるのかも。

今日は新茶であるウバと、2杯目にはマサラミルクティーにて堪能。ウバは流石にピークほどの香りは無いけれど、確かに店長さんの言う通り、甘みとバランスはなかなかのモノ。そして実はこれだけ店に通っておきながら、煮出しミルクティーを飲むのは初めてだったりする(苦笑)。ミルクにスパイスに砂糖までぶち込まれ、一見邪道にも見えるチャイだけど、その旨さの前には道も素直に通るというものである。ふふり。

今日も話題は幅広く、奥深く。話題が次々と流転するという現象は、ともすれば上っ面の浅い会話で生まれるようにも思えるけれど、実際には「脱線してもしても相手がついて来てくれるし、自分もついていける」という理想的な状態の産物に他ならない、とつくづく実感。かくて雨に濡れし帝都の気だるい午後も、熱気と共に飛ぶように過ぎ去りぬ:)

【現実はファンタジーより】

夜、ふと画面に映っていた非現実的な光景に、思わず魅入ってしまった。すなわち、「世界遺産」モン・サン・ミシェルである。……恥ずかしながら、こんな建造物の存在を今まで知らずにいました。_| ̄|〇

それにしても、最初に映っていた合成的ですらある美しい空と、非現実的な建造位置、光の中のあまりに精細な修道院の佇まいに、最初は本当に3Dレンダリングされた映像だと思ってしまった。いやー、だってあの沼沢の遠景映像を見たら、あれがロード・オブ・ザ・リングのワンシーンだと言われても信じるでしょう、普通(笑)。 そしてそれはつまり、LofRに登場する、CGで作り上げられた如何にもファンタジー世界な巨大建造物にも確かにグッと来たのではあるけれど、それでも所詮架空は現実の存在に勝てていない、という事でもある。事実は小説より奇なりと言うけれど、それは映像の世界においても同じということか。

海を渡る曙光を受け、柔らかに目覚める修道院、歴史のみが刻み得る重み、そこに祈る人々がもたらすリアリティ。こういう存在を見せつけられてしまうと、実に素直に、この世界の美しさを脊髄で納得させられてしまうのだ。 ──「こんな遺跡が見れたのなら、明日は死んでもいいな」

今日の一滴="黒茶:生茶年号不詳" (2004/05/23)

【2004-05-24-月】

【社会網状組織入門】

如星は今のところ、mixiという「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」なるモノに参加している。一体そりゃ何なのかと聞かれると、実は如星自身答えられない(苦笑)。 メリケン辺りでは、実際幅広い「出会い系」──建前上は色恋からビジネスまで──を目的としているようだけど、orkutの日本人利用、そして日本発のこのmixiを見ていると、どちらかといえば「お手軽自前ページ作成機能+日記機能付き、閉じたコミュニティ生成サービス」とでも言えようか。

コミュニティ支援機能としては、先発のorkutは結構アグレッシブなツール・サービスを数多く実装している意欲的なシロモノだが、いかんせん英語利用で日本人には広がりが無いし、例によって打ち寄せるSPAMの波に洗われて、最近はすっかり放置気味。所詮オフライン等、外での「つながり」をサービス上で再現して満足した後は、ジリジリとしかネットワークが広がっていかない……という如何にも日本的な利用には、mixi程度の実装で十分なようである。

さて、この手のサービスに関して言いたい事は結構あるんだけど、とりあえず今日は別ネタで。もう一つ、日本発のSNSとして、「gree」というモノがある。別にいくつものSNSに登録する趣味は無かったのだけど、知人に誘われたのでとりあえず入ってみることにした。

ふむふむ、まずは姓名都道府県メールアドレス……と、まずいきなり、SSL使ってない登録画面に仰け反ってしまう。こりゃ本名禁止か(苦笑)。……初っ端から不安を感じつつ更に良く見てみると、誕生日入力欄の下に「パスワードの確認などで利用しますので」などという不吉な予告が。ま、まさか今時、誕生日や母親の名前がわかってしまえばパスワードがぶっこ抜けるという質問システムとか使ってないよなぁ……。ま、どうせ偽名偽住所登録だし。ちょいちょいなっと登録。確認メールを待つべしとの沙汰である。

そしてええ、送られてきましたとも。入力したパスワードが平文で。 ( ゚Д゚)<……

この「アルファ版」ってのは、文字通りの「人柱版」って事ですか(涙)。まぁ鯖が重いのは愛嬌としても、全体的なインタフェースも、そして初心者を惹きつけるのに重要と思われるデザインも今ひとつ。しかし何よりも、この登録情報に対する意識の低さは、果たしてアルファだから許される、ベータに進めば改善するモノなんだろーか。運営組織の本質に関わるところ(少なくとも、そう見られるところ)じゃないのかねぇ、こういうモノは……。

とりあえず登録したけどβになるまで放置かな(苦笑)

今日の一滴="−−−−" (2004/05/24)

【2004-05-25-火】

【本腰ストライク】

そろそろ本腰を入れてFate関連の書き物を推し進めなきゃと考えているのですが、冷静に考えてみると、特にFateワールドで「二次創作」するというのは、とりもなおさず、膨大な厚みを持つ「奈須きのこワールド」で創作をするとゆーことであります。いや冷静も何も当たり前のことなんですが、要するに何かFateでネタを思いついても、それが空の境界、月姫、歌月十夜、メルティブラッドと引いてきた世界観に抵触しない、という点を確認しなきゃマズイ気がしてきたワケです。

とりあえず未入手ですらあるメルブラは置いておくとして、そういえば歌月十夜ぐらい終わらせとくか、忙しくて途中のままだっけな……と、数年ぶりにCDを漁って起動してみたワケですよ。ところが、話の途中で必ず落ちるのですよ、これが。 当時入れた「文字速度快適化ツール」の影響か、どーしても特定のポイントを通過できないのです。……考えてみれば、奈須文字列を「忙しい」などという理由で放り出す如星ではありません。何のことは無い、この突然死が原因でプレイ止まってただけでした。思い出しましたよあっはっは。

で、思い出したところでどーすんだ俺……。困った……。

今日の一滴="紅茶:ヌワラエリア04'ExtraBOF" (2004/05/25)

【2004-05-26-水】

【重厚アプリケーションに対するハートマン的一考察】

がこの世でただ一つ我慢できんのは───

起動が重いくせに起動ロゴが「常に手前に表示」で裏に回せないクソアプリだ!

今日の一滴="−−−−" (2004/05/26)

【2004-05-27-木】

【架空歴史の異端派】

冲方丁(原)・伊藤真美(画)ピルグリム・イェーガー(1〜3)」読了。

あの「マルドゥック・スクランブル」を書いた冲方丁の作品とあって、期待して手を出した一冊。少なくともストーリー・テリングに関しては大きく期待をかけていたし、また舞台も中世イタリアと、如星のツボを突いていたので迷わず購入してみたのです。

まず結論。いやー、まいった。如星のツボをオラオラ張りに連打する逸品です。中世イタリア史・ルネッサンス好きや、特に塩野七生ファン、「チェーザレ・ボルジア」や「神の代理人」辺りを読んでいる人、また宗教改革前夜のキリスト教に興味のある人などには、迷わずお勧めできる作品でありました。

この作品、確かに普通の漫画として読んでもなかなかに面白いです。主軸キャラを交え、実に多くの主役級を登場させ、絡み合う運命を描く──いわば「水滸伝系」の物語であり、並ならぬストーリー構築の力量を必要とする一方、綺麗にハマれば厚みのある面白さをもたらしてくれる、多重型の物語。この3巻までのところ、その多重型の伏線、いわば種をバラ撒いている感覚がありありと伝わってきて、今後の展開に大きく期待させる力を持っています。これが化けるかどうかは、今後に掛かっていますけども。

が、やはりこの作品の真骨頂を楽しむには、その意欲的な背景設定の理解が条件になってきますね。如星は実歴史の人物を登場させる作品には3パターンあると思っていて、

  • 実際の歴史を主にしつつ、サイドとしての創作を織り交ぜていく「歴史再現型」
  • 実際の歴史を改変し、展開としての創作を行う「歴史改変型」
  • 歴史は舞台程度に利用し、主軸はあくまでオリジナルが担う「歴史参入型」

「ピルグリム・イェーガー」は、如星の言うところの「歴史参入型」(世の中ではちゃんとした定義語があるのかもしれませんが)であります。ルネッサンス期の錚々たる面子、メディチからはレオーネ10世やらイル・マニフィコの息子たち、エステ家は出るわルクレツィアは出るわミケランジェロは出るわ、背景まで含めればサヴォナローラやチェーザレ、一方で地味にイエスズ会創始者が出てくる等々、文字通り前述の「中世イタリア好き」にはたまらない人物群を主役級で使いつつ、それでいて主役、主軸となるストーリーはオリジナルなわけです。

この「歴史参入型」、誰もが知っているキャラクター群を使うことで親しみを出しつつ、読み手の知識を当てにして、楽に厚みをつけられるということで、日本史や中国史では珍しくありません。正確に言えば新撰組と三国志・水滸伝に限られていますが(苦笑)、馴染み深い手法と言えます。 がしかし、それはあくまで読み手が「ある程度は新撰組や三国志を知っている」のが前提であり、ルネサンス史というのは「共通知識」と言えるほどには日本じゃ膾炙していないネタです。その辺を考慮されてか、回毎に付記されている解説文「天路歴程」The Pilgrim's Progressもなかなか楽しい文章なのですが、ルネサンス史に馴染みのない人にとっては、この文章を「楽しい」と思えるかに、この漫画を「面白い」と感じるかが掛かっているのでしょう。

読み手の前提知識を当てにできない茨の道を、この作品が今後どう歩んでいくのか。今後の伏線展開とも合わせて、目の離せない作品であることは確かです。てゆーか如星は熱狂的に追うのでありましょうが:)

【キリスト教的ルネサンス】

ちなみに「ピルグリム・イェーガー」を読んで思い出したのが、塩野七生著「海の都の物語」の、「聖地巡礼パック旅行」のくだりである。女史は「非宗教的とみえる時代でも、人々は信仰を守り続けていたのだということを、実証したかったためでは決してない」と書かれているけれども、その一方で、ルネサンスなどという異教的で人間主義的な時代でも、民間での教会による支配は絶対的であったのだなぁ、と実感させるには十分な話であった。

こういう宗教の面というのは、日本人には、いや正確に言えば生まれながらの特定宗教信者でない人間には、なかなか理解しにくいモノである。普通の我々が時にふと感じる天意、ニコライエフ将軍の「ドイツ軍の88mm砲弾がすぐ側に落ちて、それが爆発しなかったら、誰だって『ああ天上にはどなたかがおいでになるんだな』としみじみ思うもんだ」というのとはまた少し違う、宗教、神への想いというのがあるんだろう、と想像する。あくまで想像の域を出ることはできないのだけど。

そういえば余談だが、日本の「広辞苑」は「神」の項目で、「人間を超越した威力を持つ、かくれた存在」と「キリスト教で、宇宙を創造して支配する、全知全能の絶対者」をキチンと分けて定義しているのね。当たり前のことなんだけど、改めて見ると「へぇ」という具合だ。

今日の一滴="紅茶:ヌワラエリヤ ExtraBOF" (2004/05/27)

【2004-05-28-金】

【Unlimited Lolita Works】

Aniseseedの「ロリータデー」に、相方と連れ立って出撃。

アニスは普段の制服も結構多目の生地を丁寧に使った代物だけど、この月末のロリ、ゴス、チャイナの3日間は、メイド様方各自自前持ち寄りの服を着るとのこと。やはり被服系の「本家」たる各種ロリゴスのブランド服でお出迎えとくれば、曲がりなりにも被服好きの如星は行かずにはいられますまい:)

そんなわけで本日初日の「ロリ」ですが、入店して7秒でノックアウトでした(受けは早い方が可愛いからいいんです(謎)。いやー、無論日頃のメイド様方から予想はしていたのですが。

元々ここのメイド様方は、自分に何が似合うか、自分のポイントは何処かをキチンと把握している人が多い気がします。単にレイヤーさんで慣れているから、というだけでなく、自己の磨き上げるべきツボを(それがアクセにせよ仕草にせよキャラにせよ)心得ている、というか。……もちろん黙ってたって可愛い方が多いんですが(笑)、素直にそういうところで凄いなぁ、と思うこともしばしば。 そして一方で、元々着こなすのが難しいロリ服──総合的な方向性が「馴染んで」いなければ、各要素の良さも相殺してしまうというのはどんな服装でも同じだけど、特にその傾向が強いロリは、更に最近市民権を獲得した感のあるゴス、ゴスロリに押されてか、街中でお見かけする絶対数自体も少ないのが現状です。

その「似合っている人を見かけられるだけでも嬉しい」ロリ服を、日頃見られる巧さを遺憾なく発揮され、見事なまでに個々の個性に似合った装いに仕上げて勢揃いとあれば、これを眼福という名の、現実を浸食する固有結界と呼ばずして何と呼ぶ!(笑)

──ちなみに、相方にも被服属性があって助かった良かったと心から思うのは、こういう時でありますねぇ。 いや、その断じて免罪符にしてるとか、言い訳にしているわけではうわ何をするきさまらー…

【雑感追記】

ちなみに今宵最高にツボったのは、個人的にも好きなメタモルの黒ナース様。ナースキャップ型ヘッドドレスとタイトな黒が、長い黒髪の先に入れられた深紅と非常に合っていて、萌え転がること7回転半。……てゆーか皆さん似合い過ぎですよ! 赤チェック+黒レース裾やら、手作り天使羽根やら、如星はさぞや間抜けな幸せ面を晒していたに違いない(苦笑)。\

……時にはこういうオチもスジもない日記をお許しを。いやどう頑張ってもオチなかったんで。

今日の一滴="カクテル:Pink Future" (2004/05/28)

【2004-05-29-土】

【メイド系の原点】

昨日某湯島にて、ふりひらたっぷりのWRさんが相方のカップに紅茶を注いでいるのを見ていて、ふと、こういったクラシカルな服装──無論本当にクラシカルなわけではないし、昨日はメイド服でもないのだが、ロリ服というのは基本として懐古的だ──メイドさんに紅茶を注いでもらう、というシチュエーションこそは、元々「メイドカフェ」なるものが誕生した方向性だったんだよなぁ、というのをしみじみと思い出した。

動きやすくもなく、むしろ見せるための服装の人間に給仕サービングをさせるというのは、元々ヴィクトリア朝時代の客間女中パーラーメイド辺りがその精華の一つかもしれない。あるいは、気の置けない執事に朝の寝室までティーセットを運ばせて、部屋着のまま楽しむベッドティーなるものなど、英国趣味や植民地風への憧れというのは、つまりは奉仕サーブされることへの憧れかもしれない。それはつまり、一挙一動の折り目正しさはもちろんの事、見た目をも楽しめるという点、そして自分が寝巻きでも平気という気の置けなさ、その全ての調和を追い求めているということである。たとえお客様でもいいけれど、親しいお客様として紅茶を注がれたい、というわけだ。

今現在、この手の憧れをお大尽になることなく一番素直に叶えようとするならば、やはり「ホテル」という結論がもっとも正当な道だろう。如星がホテル好きだというのも、言ってみればサーヴィス好きということである。しかし、ホテルであれば折り目正しさ、見た目の美しさは得られても、気の置けなさを得るためには、それなりの習熟が必要というのも、また事実だ。これには受け手の性格というのもあるのだろうが、遠慮と開放のバランスというのは、生まれつき人を使うなんてコトに慣れていない我ら庶民にとっては、至極後天的に身に付けざるを得ない類の技である。

一方で、この元来的な意味のメイドカフェというものは、折り目の正しさでは数歩(時には何十歩も)譲るものの、見た目という点では分かりやすく素人好みですらあるし、そして何より、気の置けなさという点では格段にハードルが低い。最後の一点が、単に制服が可愛いというだけの店と異なる点で、何せ元々一般人を相手にしておらず(苦笑)、小規模でパーソナルな感じを与えてくれるし、また内気なる秋葉趣味諸君にしてみれば、相手もその趣味の系譜に連なる人間だというのは、心安さを後押しするのではないだろうか──当方、内気でもなく最近イマイチ秋葉趣味でもないが、それでも話題の振れる気楽さというのはあるものだ。

現実には、その「気安さ」が進みすぎたというか、そもそも秋葉系の人間には、ホテル系よりも格段低くて済むとはいえ、メイドカフェであってもサーヴィスは受け手にも一定のスキルを要求する、という厳とした事実はなかなか馴染まないようで、店側もそのハードルのバランスが取れずに足掻いている模様であり、前述の「遠慮と開放のバランス」を店と客の双方で作っていく、なんて状態は、今や全て遠き理想郷に過ぎないかもしれない。そもそも最近のメイドカフェは軒並み「コスプレカフェ」の方に舵を切ってしまい、そもそも根本の方向性から変わる方向に流れているようである。

ただそれでも、メイドカフェの原点にはこんな憧れがあったという事を、時には振り返ってもらえないかな、などと思ってしまうのだ。あるいは、何処ぞのメイドカフェの中の人の心の片隅にでも、この駄文が残らないかな、などと未練がましく思いつつ。

【二行目から読んでいない人へ】

要約すると、アニスのゴスデー最高。

……ではなく。いやー、もう皆様カコイイ! ゴシック系偏愛な如星はめろめろです。

…………という電波ワードだけ書いておくのもアレなんで、実際イベント日としてもかなりレベルが高かったことを付記しておきます。まずいきなり本物のキャンドルライトを片手にお出迎え。夜の時間帯でしたが深夜以上にライティングを落としてあり、各テーブルにハロウィン風のシェードに入ったキャンドルランプが置いてあって非常に良い雰囲気です。メニューペーパーも聖ピエトロ寺院の「聖ペテロの御座」を背景にキッチリデザインされており、実際のカクテルにもブラックウォッカを使ったり、蛍光マドラーを使ったりと、全体として演出が非常に丁寧な印象を受けました。で、ええ、その薄闇の中にピシリと着飾ったWR様方がまたハマってるのでありますよ:) 個人的には毎日これでもいいくらいに。

最近はイベントやフェアと言っても、ちょっと着てる服が変わった程度のを連発されている状態がほとんど。そんな中で、一点集中砲火の如く、極少数のイベント日にこれだけ力を集中する、といったやり方は、受け手としても「非日常的」であり、かつ「高品質」で非常に楽しめました。すらばしい。

……ただし、当日は一部客の振る舞いが最低だった点は更に付記しておきます。大集団で押し寄せるのはまだしも、端と端のテーブルで大声で会話しまくり、更には階すらまたがってテーブル間をウロチョロと移動しまくる。店にはウェイティングも発生していたんですが、後で聞くところによるとこの集団、2時間居座って、各人ドリンク一杯程度だったとか……  ( Д ) ゜ ゜

ああ、こりゃメイドカフェの中の人も大変だわ。個人的には店側に、もう少し毅然と振舞って欲しい気もしますが、難しいところですな……。

今日の一滴="カクテル:新月" (2004/05/29)

【2004-05-30-日】

【同人的週末の過ごし方】

TYPE-MOON系オンリーイベント「月読宴」@ビックサイト西館に行ってきました。

最近コミティアばかりだったので、商業系即売会は実に久しぶり。やはり一応は夏を見据えて、世の中のFate作品傾向を知っておきたくての出撃であります。なんか動機が不純なようですが、もちろん、Fate関連の良質なる同人誌の接収が第一目的ではありますので:)

結論から言うと、思っていたよりもシリアスが少ないなぁ、という印象。また原作がディープな世界観の物語ゆえに、もう少し「激しい」作品がないかと思っていたのですが……ちょっと肩透かしを食らった感じですな。ま、今回は4月5月と「魔術師との絆」「蒼月祭」とTYPE-MOON系イベントが続いてきた最後ですし、夏コミを前にして若干息切れの季節かもしれませんし。

ちなみに最新作「Fate」を引っさげたTYPE-MOONは、今時の男性向PCゲームの中では同人活動も多い代表的存在。しかし、いくらこちらが3連イベントのラストであったとは言え、お隣でその2倍の規模で堂々開催中だった鋼の錬金術師はがれん即売会を見てしまうと、いやー、今時の「男性向」と「女性向」のパワーの差を見せ付けられているかのようで、思わず笑ってしまいました。時間も遅かったので中には入りませんでしたけど(その実、なぜか月読宴で売っていたはがれん同人誌を買っているのは秘密である)

また同時に、オールジャンルのコスプレイベントも開催していたようで、普段「長物禁止」のコミケぐらいでしかコスプレを見ない如星にとっては、キチンと各種兵装を装備し、しかも合わせ全員のレベルが一律高いなどという、本格的なコスが見られてなかなかに満足でした。

最近コスプレを見て思うのは、まぁある意味女性陣のレベルが高いのには見慣れてきてるのですが、この頃は男性陣のレベルがかなり高まっている、ということ。今日も隣の鋼錬イベントの影響か、例の軍服姿の方が大変多かったのですが、やはり基本的には女性メイン。美形を演じるには女性というのは良いのですが、やはり親父フェチを満足させるような男臭さというのは、如何にごついブーツ等の装備をまとおうとも、本質的には男にしか出せない味、というのがあるものです。その点、最近の男性レイヤーさんは単に美形としてのレベルが高いというだけではなく、なんと言うか「さわやかな男臭さ」の演出に見事に成功している髭オヤジ様(何)が増えているように思うのですよ。いやー、もう原作からそのまま出てきたとしか思えないアゴ髭角メガネのヒューズ中佐に萌え萌え。

というわけで、この週末はメイドからゴスロリから同人にコスプレと、久々に大変濃厚なアキヴァ系の時間で過ごしてみた次第。うーむ、この感覚、良いね(笑)。やはりこういう世界は、自分の足を動かして稼ぐものである、なんて当たり前のことを再認識。つらつらと思うに、Webや商業誌、せいぜいが同人誌販売店止まりで一方的にコンテンツを摂取しているような状態/輩を、断じてアキヴァ趣味の同志などとは呼びたくねぇ──そんな青臭い気分をも許容する、西館屋上の抜けるような夏の空、座りて食らう会場での握り飯、っと。

今日の一滴="−−−−" (2004/05/30)

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