MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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The most precious element of this world is "neta". Amen.

【2003-07-03-木】

【ready, fight】

勝利者、なるものが存在するのであれば、それは議論ではなく討論だ。

相手を論理で叩きのめし切り刻む行為が、無抵抗の相手を殴り倒す行為より崇高な点は(皆無ではないにしろ)多くは無い。ま、対等な討論であっても拳の殴り合い程度と五十歩百歩か。また別の観点からすれば、理を以って勝ったが最後蹂躙するような行為は、真に論理的ではない、とも言える。相手の感情やその後の事まで計算に入れた対応こそが、真に論理的な対応と言えるのだから。……どうも討論の勝利者にはそういった傾向が見えてしまうな。討論の勝利者が錦の御旗を振るっているわけでなし、単に「討論に勝った」以上の意味なぞないのにね。

議論が討論ではなく議論たる所以は勝ち負けの判断にはなく、論がチューンナップされるという点に尽きると思うのだけど……ディベートの得意な香具師なんぞよりディスカッションのノウハウ持ってる奴の方が、世の中の役に立つこと数十倍だと思う今日この頃。

【time fried like a chicken】

近頃、平日の過ぎ去るのが早い──文字通り光のような速度で時が前へと進んでいく。そう、締切りという破局に向かって……(死)

それでもぷるぐるみんぐという因業な配置について以来の単調な日々の繰り返しは、最近ようやく意図的な転調でうねりをもたらす事に成功しつつあります。原稿だって、流石にお誕生席に晒されてしまった以上は真面目なモンださないといかんし。ますますもって時間を大切に歩かねばいかんのぅ……。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/07/03)

【2003-07-04-金】

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/07/04)

【2003-07-06-日】

【ora di vino】

行きつけのバー、「石」の主催するワインセミナーに顔を出してみる。

セミナーといっても堅苦しいものではなく、店に昼間集まって、ワインの試飲会をやる程度な話らしい。如星は酒好きでイタリア好きのくせにワインだけは滅法弱く、ワインは「イベント酒」なコトもあり多々悔しい思いをしてきている。というわけで、ここらで一発美味いのを味わっておこうかと思って参戦。……別に嫌いなわけじゃないんだけど、数が飲めないと美味いのに当たる確率も減り、美味いのに当たらないと弱いので飲まないという悪循環だしね。

今回のテーマで惹かれたのは「チーズと合わせる」という点。いつの間にやらチーズ好きにもなっていたんで、正直こっちが目当てで行ってみた、という面も否めない:) ワインとチーズ、なんて書くと妙に気取って聞こえるが、何をいわんや、要は「旨い酒と旨いつまみ」である。気楽に行きませう。

……で、実際結論から言うと、チーズのみならず、「チーズとワインが合う」という言葉の意味を、生まれて初めて心の底から実感してしまった。今回のクリーンヒットは「ジュブレー・シャンベルタン(いや初耳)」ちう赤と、そのワインでウォッシュしたチーズ「ラミ・ドゥ・シャンベルタン」──その名も「シャンベルタンの友」のコンボ。「しっかりとした味わい」というと、どうもあのタンニンの渋みが気になって仕方ないのだけど、こいつにはそんな気配は一切無し。チーズの方も完全完熟状態、ちょっと風下に人を置いては食えない風だけど、これがもう病み付きになる臭さと味わい。しかもこの両者がピタリと合うのだから不思議である。……試飲していて、思わず高笑いして変な人化した(w)杯であった。

今回試した四杯はどれも「心地よい」。チーズとの取り合わせで、試飲会といいつつも極上の時間を過ごしてしまった。……聞けば、やはりボトルの価格帯やオーダーの出る数等を考えると、今日飲んだ酒を同じように店で出せるとは限らないと言う。その辺が商売の難しいところだけど、一方でそんな「旨い酒と旨いつまみ」という時間を、こういった試飲会という形でお客さんに提供してくれる心意気は、やっぱ流石のモンですな。

こんな幸せな時間を夕暮れ前に過ごしてしまうと、例えこの後に貸切のパーティーがあろうとも、一緒に参加していたマスター殿をして「仕事したくない」とぼやいてしまうのも、無理からぬことなのであろう:)

Summary="至福のひと時。" Physical:90 (2003/07/06)

【2003-07-07-月】

【やってくれるじゃねぇか】

月曜の朝、折角の七夕の朝から萎えまくり。正確にはブチ切れているのだけど、この週末の例にない心地よい充電を、今週に叩き付けようと思っていた矢先の朝一番の出来事で、怒りよりも萎えが先に立ってもーた。

……いや、朝出社したら勘違いと一方的な思い込みに基づく罵倒メールが来てたんすが。おまけにメールを出した本人は今日休みだとさ! 口頭で一発つぶせば後腐れも残らんのだが、メールで返すのも弁解がましくて嫌なので反撃は明日まで待つことに。……それだけでもイラつくんだが、加えて元メールはご丁寧に上司等々にCCしてありやがる。不当に非難される前に、一つ一つ誤解を解いて回るのが正しいリアクションなのかもしれんが、萎えすぎていてその気力なし。放置。

ま、無論萎えただけで放置したわけではなく。明日誤解だと向こうが了解したら、同じCcアドレス宛てに当人から弁解させるつもりですんでね。事実確認もなしにご丁寧にリッチテキストで罵倒してくれるような輩のケツ拭いを俺がやる必要は1mmもナシ。

しかし本当に週の頭からやる気をふんだくってくれよるなぁ。こりゃ仕事など休んで原稿を書けというお達しでありましょうや。ヤレヤレ('A`)ノ

【ごっつぁんたなぼた人生】

さて気をとりなおし。今日は七夕、マブラヴは鑑純夏はんの誕生日なわけです。

……一応この日に合わせた形の短編の、せめてプロローグ程度は出せるかと思っていたのですが、やっぱり間に合いませんでした……というよりは、残念ながら優先度が下がってしまいました。というのも、よーやく夏コミ発行物の方向性も固まり、全力執筆体制に入りつつあるからなのです。……いや本当だってば(;´Д`)

さて最終的に、夏コミ主力本は君望で行くことにしました。マブラヴを期待されていた方々には大変申し訳ないのですが、相変わらずマブラヴ本編を読み込む時間が取れないのと、やはりまだまだ君望で書きたいテーマは残っているから、というのが大きな理由です。どんな話になるのかは、まぁ当日のお楽しみということで:) 近々タイトル等はインフォメページで公開いたします。

あ、しかしマブラヴでの執筆量がゼロというわけではありませんので、書きかけの短編は一応コピ本で発行する予定です。建前上、君望本の締め切りから3週間ばかり時間はあるわけですからね。こちらはエクストラ・アンリミ表裏一体の話となる予定です。

ちなみにマブラヴといえば「ミリタリーモノ」がすぐに連想されますが、この線で書くつもりはあまりありません。背景世界程度には使うかと思いますが、メインはエクストラ+アンリミSF面ですかね。何故なら、やっぱり純軍事的な話は私が近代戦略に疎いので書けないというのと、どう頑張っても安いガンパレもどきになってしまいそう、というのが最たる理由です。……いや、読者をぶっちぎってしまう、という観点はあまり心配してないんですがね。SFモノでも十分読者を置いていく可能性がありますから(ぇ)

#最近谷甲州等の仮想戦記モノを読んで、とても素人の書けるものではないと痛感したのも大きいかも。いや良質の仮想戦記って要するにSFですし、普通のSFだって素人が書くには辛いモノですが……。

そんなわけで、久方ぶりの懐かしい台詞を吐いて締めましょう。

「我々はこれより修羅場モードに入る!」

SEE YOU SPACE WRITERS...

Summary="余計な思考で時間を取られるのが一番嫌。" Physical:90 (2003/07/07)

【2003-07-08-火】

【人種の壁】

帰りの電車の中で原稿なぞ打ち込んでたところ、隣に座った(明らかに高校生じゃなく)中学生の女の子が、友達と「知り合いの携帯番号と顔写真を2chで晒す」話を声高に電車内でしておりますた。そういう話はsageてヤレ、ってのは置いといて。まぁなんつーか香ばしいというより、キチガイに刃物、リア厨に2ch、という言葉の意味を垣間見てしまった気分ですなぁ。うーむ。

【平らな道を歩いてゆこう】

そういえば七夕は如星の「帰国記念日」。ちょうど先日のif氏のNY日記を読んで、7年前に感じていた、それとはある意味正対位置にあるギャップを思い出した。

もちろんアメリカ生活から日本の生活に戻るのには無数のカルチャーギャップがあったけど、その中でも怖かったモノの一つが、深夜に夜道を歩くことだった。特に帰国後最初に住んでいた場所は、駅から自宅までの途中に、人通りも少なく街灯もないという路地を通らなければならなかったのだが、向こうの感覚が抜けきらない如星には、これがたまらなく怖かったのである。「この地域」は安全なんだ、といくら言い聞かせても、無意識の内に警戒心を高め、いつでも走り出せるよう(流石に日本で『撃ってくる』ことは考えなかった)筋肉を緊張させて、その場所を通っていた記憶が残っている。まぁ随分なチキン振りですな(苦笑)

まぁその後、いつの間にやらそんな街を歩く際の意識は抜けてたけど、今でも「荷物を目の届かない場所に置くのに無意識的な不安を感じる」「かばんを足元に置くならヒモを踏ん付ける等気を使う」「オートロックを開けるときには振り返る」等の癖は抜けてないので、逆に海外旅行時には助かる面もある:)

……が、結局これだけ「日本の安全意識」に慣れた今になって、ウチの近くでも通り魔が出たり、挙句に男でも夜道で殺されるとゆー事件が発生するようになってしまった。うーん、今更手遅れなのに。

【今寝たら死ぬぞ】

ちなみにNYの地下鉄が昔ほど危なくないのは事実。

しかし、特に深夜だと、うっかり乗り過ごしたり、知らずに急行に乗ってしまうと、途端に生死の明暗を分けることになってしまうのでご注意を:) 超えるべからざる線、というのは相変わらず健在ということで。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/07/08)

【2003-07-09-水】

【コメンツ】

マスコミが同じ台詞と映像を二千回連呼して俺がうんざりしてしまう前に、メモリンク。

うーん、あまり付け加えることはないのぅ。参考までにということで。

ま、個人的な意見として、こういうときに三角の白いフードを被った大衆ちうのが、「奴を十字にかけて火で炙れ!」と叫びだすのは勘弁して欲しい。この世界には無数の専門職があり、このような微妙な問題は彼らですら時に手に余るというのに、何故か彼らは飲み屋の談義と脊髄で正しい答えが出ると信じて疑わないんだよなぁ、これが。正しい知識の共有(少なくともその努力)及び議論なき「多数決」は民主主義ではなく衆愚主義だっつの。「一般市民の感情」に配慮は必要だが、野球のジャッジを観客の投票でヤレとは誰も言わないでしょう? まぁ飲み屋の談義で国民の教育方針決めちゃったり、「キモい」という理由で住民票はねてみたりする人治国家では普通のことなのかも知れませんが:p

【midnight work】

夏コミ本、全体の枠組みと前半部分がなんとか完成……。フォォォ、偉いぞ俺。

夏コミ本、まだあと40ページ分書き上げねば……毎日4pかよ! 嗚呼俺の馬鹿……_| ̄|〇

そーいえば、かのWinny開発者たる47氏は、かつて「一週間の仕事を一日で上げて、五日を趣味(Winny開発)に使って、一日休む」ペースで進めていたという。ふとした思い付きを現実にしちまう、という点も凄いもんだが、趣味と言う観点からすれば、氏はロールモデル的趣味人なのかもしれない:) いやぁ、趣味にはやっぱ人生捧げないとね。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/07/09)

【2003-07-10-木】

【谷甲州ファンが常に何処か自虐的な理由を垣間見てみる】

覇者の戦塵、現行までの全シリーズをようやく読破。間に他の本をはさんではいるけれど、着手後実に三ヶ月掛かってしまった。ぜーは。ちなみに入手困難な4冊は結局勧めてくれた友人に借りての読破である。

処理済覇者の戦塵・北満州油田 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・オホーツク海戦 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・謀略熱河戦線 (C-novels)
借本覇者の戦塵・殱滅ノモンハン機動戦 上 (C-novels)
借本覇者の戦塵・殱滅ノモンハン機動戦 下 (C-novels)
借本覇者の戦塵・撃滅北太平洋航空戦 上 (C-novels)
借本覇者の戦塵・撃滅北太平洋航空戦 下 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・急進真珠湾の蹉跌 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・反攻ミッドウェイ上陸戦 上 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・反攻ミッドウェイ上陸戦 下 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激突シベリア戦線 上 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激突シベリア戦線 下 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激闘東太平洋海戦 1 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激闘東太平洋海戦 2 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激闘東太平洋海戦 3 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・激闘東太平洋海戦 4 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・ダンピール海峡航空戦 上 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・ダンピール海峡航空戦 下 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・ニューギニア攻防戦 上 (C-novels)
処理済覇者の戦塵・ニューギニア攻防戦 下 (C-novels)

まぁとても日記の一日分で語り尽くせるボリューム(冊数のみならず)ではないのだけど、あえて端的に言うならば、すばらしい、そして地味、の二言に尽きる。

読破にこれだけ時間が掛かったのも、本シリーズは「派手にドンパチスッキリ戦記」ではなく、むしろ技術面に力点を置いた歴史書のような筆致で綴られているからである。例のコピペ風にいうならば、「谷甲州ヤバイ。マジ(中略)…架空戦記は普通戦争を戦争のまま扱ったりしない。超大和級とか出して地味に引き分けとか意味ないっしょ。だから架空戦記は派手にやる。わかりやすい話だ。でも谷甲州は違う」となる。一気に状況が展開することなど滅多になく、地味に地味に、歴史のピースを積み重ねていく感じだ。

この「覇者の戦塵」を読むと、良質の仮想戦記モノは良質のSFである、という台詞にも強く頷ける。良質のSFとは、技術的な飛躍や世界観的な飛躍で楽しませてくれる一方で、その全てが地に足ついており、飛躍を踏まえた社会構造を矛盾なく構築している作品のことである。

#もちろんこれは一つの基準であり、嘘臭いのが面白みの良質のSFも存在する。また突拍子もないことが悪いわけではなく、むしろ歓迎。問題は「突拍子もない設定」が同一世界内に馴染んでいないケースなのだ。ちなみにファンタジーにも当てはまる(SFはファンタジーの一分野だ)。誰もが自由に空を飛べる世界の「乗り物」が自動車であるわけがないだろう:)

さてこの覇者の戦塵も、大慶油田の戦前発見という仮想イベントを起点にして、あちこちの技術が正史より半歩先に進んだりする。だがそのたった半歩の進みにすら、戦訓やら運用する側の意識改革から着手して描いているし、新しい技術は新しい社会構造、政治構造すら要求する、というSFとしての面を事細かに組み上げているのだ。技術が世界観に裏打ちされているおかげで、クラークやシモンズのハイペリオンといった、一級のSFで味わえるモノと同種の快感が楽しめる。

もちろん、まぁ戦争モノということで中々萌える戦闘シーンもあり、その描写だってイカサマなしの王道で気持ちいいんだが、一方でなんだか「渋い話ばっかでスンマセン、サービスシーン入れますんで」という作者の声が聞こえてきそうな気もしてしまう(・∀・)

というわけで、男ばっかで派手な展開がなくて日本軍が突然体質改善したりもしない、そんな世界をこよなく愛せてしまう歴史好きや技術史好きには是非ともお勧めしたい作品であった。……い、いや、普通の人が読んでも面白いよ? ……多分。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/07/10)

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