最近、時間が瞬速で流れ去っていく気がします。
先週日曜の日記なんて「昨日程度のネタだし補完しなきゃ」などと思っていたらもう一週間前。平日が馬鹿忙しいのと、その隙間にプライベートを密に密にと織り込んでいるせいなのですが、本当に某腕を開放したシロウのように記憶が飛んでるんじゃないかと思うくらいです。多分今月は数か月分の寿命を消尽してるんじゃないでしょうか(笑)。
というわけで、オンラインでも色々準備しなきゃと思っていたら、あっという間に「誕生日」到来。
まず3月22日は「涼宮遙」の誕生日として、既刊絶版書の短編のWeb公開と、最後の積み残し短編を公開するはずがこれまた落第。せめて改筆ぐらい済ませたかったのですが……ま、改筆の方は数日以内に公開できるかと。何はともあれ、遙さん誕生日おめでとう。私を物書きの道に引き込んだ張本人として、また同日誕生日の相手として今後も祝わせていただきます:)
というわけで、本日はワタクシ維如星の誕生日でもあります。
この週末は本当にいろんな人に誕生日を祝っていただきました。如星関係でコミュニティが増えたということかもしれませんが、これだけ多くの誕生日プレゼントを貰ったのは初めてです(笑)。本当は本日前に、日曜日までの日記で各々言及しておきたかったのですが間に合わず、とりあえずはこの場を借りて皆様に御礼申し上げます。みんなありがとう、愛してるぜ! いやマジで!
というわけでお茶濁しではございますが、昨年夏発行の「道は遠く夏の彼方へ」に収録した超短編を改筆再公開いたしました。「変わらぬ空と小さな世界」、もう一本の改筆と新作公開まで、しばしこれにておしのぎくださいませ。
誕生日当日の最後に、相方にかふぇせりでデザートコースをおごってもらう。
これだけのもてなしを出す店を贔屓にさせてもらって、親密なサービスを気軽に受けられるってのは、本当に嬉しい。まさに、あちこち出歩いた最後に相応しい「締めの店」である。料理2皿からデザート2皿、丁寧な作りを堪能する。──このデザートも食べ収めかと思うと少し悲しい。実は芹のパティシエさん、今月末で店を離れてしまわれるのだとか。四月からのことは知らないけれど、少なくともこの方のデザートは食べられなくなってしまうわけだ。深夜デザートからテイクアウト、誕生日ケーキまで幅広く利用させてもらっていただけに、本当に残念である。……ともあれ、2002/08/22の初来店以来1年半近く、本当にお世話になりました。そして、お疲れ様でした:)
……藻前等、如星日記でたびたび触れられてきたデザートを食いに来るなら今ですぞっ。
今日の一滴="デザートワイン:バニュルス" (2004/03/22)
腕からぶら下げた自分の傘の先端の行方にすら思いを馳せる事のできない、想像力に欠けた人間。
……だから、傘を腕に掛けたら先端は前に突き出るし、電車が僅かに揺れるたびに先端は大揺れ。本人は両手で本まで読めてさぞや楽なんでしょーが、周りの人間に濡れた傘を擦り付けるわ、前に座ってる人間の足や鞄に水滴をばら撒くわと大変迷惑なのですが。いいから先端を床につけろ。落ち着け。
いや別に女性に限定されるわけじゃないんすが、短い傘の方が被害が激しく、かつご丁寧に腕と傘の間にハンドバックを挟んで角度をつけてくださる方もいるもんでね('A`)ノ
大量の人がまとめて降りるラッシュ時のターミナル駅で、波濤に耐える御立派な巌の如く、御丁寧に携帯の画面を睨み続けながら人の流れを乱す御方。さらにメールですらなくテトリスかよおめでてーな。あとスシ詰め状態の車内で、顔の高さでメールカタカタ打つのも勘弁してください。俺の肩はあんたの携帯の充電器じゃねーし、いっぺん耳の穴から5cmのところでプラスチック連打されてみなはれ。こんな状態で必死こいて打たんでも死なんだろうに。ってまたメールですらなくテトリスかよ!(いや別に同罪なんだけども。)
結論:雨は嫌だわ……雨の音が義体を(略)頼むから空気嫁。
今日の一滴="−−−−" (2004/03/24)
自分が詳しいジャンルの品を誰かへのプレゼントにするのは、実は結構難しい。
そもそも贈り物に求められる第一条件は「何を」ではない。「誰に(対象を定め)、いつ(タイミング)、どの程度の(目的に叶ったレベル)」という方が重要なのだ(値段だけが重要、というケースもあるけれど:p)。 相手に合ったものを選ぶ、という点については、「定番」によってある程度回避もできる───定番、というのは決して恥じることはない、とても良い贈り物なのだ。「定番」とは贈り手と受け手で認識がほぼ一致している代物なのだから、贈り手の「気持ちレベル」が実に素直に受け手に伝わってくれるのだ。
そこからさらに踏み込んで、気の利いた品物を選ぶ───それは受け手にプラスアルファの驚きと、喜びを持って欲しいという、実に素直な感情だと思う。ところが途端に、贈り物というのは難しくなる。プレゼントに悩んだ事のある全ての人が気づいている事だろうけど、プラスは好みによって容易にマイナスに転じるものであり、微妙な選択を迫られる。故に気の利いたモノを贈るには、相手をある程度以上に把握していることが半ば必須の条件となるし、よって初対面に近いならば無難に定番が良し、という当たり前の結論が導き出される。
そしてさらに、自分の得意フィールドでモノを選ぶ。簡単なようで実に難しい。特に自分の趣味が周りに知れている場合、「あの人なら外さないだろう」なんて期待まで掛かってしまう。日頃趣味を公言している手前、それこそ下手なものは上げられなくなってしまうのだ。相手も同趣味の人間であれば、単に自分の力量をストレートに試せる絶好のチャンスなのだが……大抵の場合、相手は「素人さん」である。何処かのジャンルの趣味人なら分かると思うけど、門外漢に「いいモノ」を分かってもらうのは難しい。本当に良いモノが「悪い」と取られることは稀だけど、「まぁ、こんなもん」という感想が関の山で期待した効果はなかなか得られない。かと言って、誰でも分かるクラスのアイテムを選ぶというのも不粋である。何も知らずに金だけ掛けたと思われるのは、趣味人の矜持が許さない(笑)。
これだけ難しい「道のギフト」であるが、「道半ば」の人が安易に手を出してやってしまいがちなミスが、自分がただ良いと思う物を相手に押し付けてしまう、という贈り方だ。モノの良さの根源、万事に通じる公式を会得する前なので選択の幅は狭いし、また自分が良い物に出会えた喜びを語るあまり、「まぁこんなもん」どころか「マニアックなモン押し付けよって」という印象を与えかねない。生兵法は怪我の元なのだ。
一方趣味が高じていくと裾野が広がり、色んな幅のモノが愛せるようになる。初心者に受入れられ易く、それでいて本当に良い物に繋がっているモノを、その裾野から拾い出す。──高級品を選ぶことは誰にでもできる。相手の特性と趣味の世界を見極め、最適な贈り物を選び抜く。それは実に趣味の力量を問われる、モノに愛を捧げるタイプの趣味人ならば一度は挑みたくなる難関ではないだろうか:)
丸ビル地下(甘味、緑茶接収)→八重洲地下(酒接収無事回避)→湯島某店(週末の夜に相応しいメシと酒と一抹の癒し)→外神田某店(締めたるエスプレッソと甘味)。
湯島某店先、外神田某店後というのは、早めに帰宅したいときには最適である。まず俗塵から一気に深まり、そして浅瀬へ引き上げてゆるりと帰宅、という次第だ。これが逆だと目も当てられず、浅瀬で身を慣らして一気に海溝の深みへ……それは文句なしのオールナイト・コースである。危険危険(笑)。
今日の一滴="−−−−" (2004/03/26)
昨夜、日記とは全然関係ないジャンルの(笑)ちょっとしたプレゼントを求め、丸ビル地下を彷徨っていた。この場所を選んだのは単に丸ビルで仕事が捌けたからだけなんだけど、いや甘味に関しては一揃い揃ってるな、という感じで、自前用に色々買ってしまわないよう自制自制。
……していたはずが、ふと目に入った小奇麗なディスプレイの前で止まる。見てみれば日本茶店で、産地別、製法別にカラフルで分かり易く緑茶が並べられている。最近の茶ブームの影響か、なかなか初心者に分かり易く、ついつい引き込まれてしまった。……実はこの如星、紅茶から中国茶まで渡ってきたけれど、日本茶には詳しくないままなのである。そこでちょいと店員と話してみると、キチンとお茶を語れる人だったので色々と情報摂取。中国茶の知識で緑茶の基本を聞くという変な客の完成である(w)。 例えば日本茶が蒸して発酵を止めるのは知ってたけど、煎茶って何? 煎じるの? 深蒸しだけが蒸し?玉露って種類?製法?ナニ、日光に当てない製法のことか!──うう、茶飲みの端くれとして情けない_| ̄|〇
結局いつのまにか試飲までさせてもらい、渋みが好みである点、普段は釜炒りの中国緑茶を飲む点、香りの幅は好きな点を伝えて、幾種類かを試してみる。また玉露って甘みがイマイチ好きではなかったのだけど、玉露と通常煎茶の中間という、若干最終期に日光を遮った「かぶせ煎茶」も試してみた。……茶飲みになってから真面目に緑茶を「比較試飲」するのは初めてで、魅力の違いはなかなかに面白く。あとやはり日本の地名というのは大きいかもしれない、普段「シッキム」だの「カンジュンチェンガ」だの言われても慣れるまでは今ひとつピンと来ないが、「静岡はこう、福岡はこんな感じ」と言われると、やはりネイティブとして理解しやすいらしい(笑)。 ……かくして、試験購入、決定。
しかし地球の裏側、イギリスのスタンダードな紅茶から、フランスのフレーバー、インドの新茶ダージリン、正統派セイロン、圧倒的な深みの中国茶を通り、辿りついた趣味の鉾先が「日本」ってのも面白い。まだ趣味と確定したわけではないけれど、やはり「地元」というのは幅広い種類と質のネタが楽しめるわけで、それをこれまで放置していたのは怠慢とすら言えるかもしれない。研鑚研鑚。
スパイスは、定期的に摂取すべき生命活動の根源の一である──というわけで、今日は例のインド料理屋で初めて辛さ増量をカスタムオーダーし(そこで一番辛い『マトンカレーより少し辛い程度』)、無事水分及びダヒ、ラッシー無摂取での完食に成功。……いやー、やっぱり「旨みのある」辛さはヨイ。インド系スパイス万歳。
今日の一滴="−−−−" (2004/03/27)
昨日購入した日本茶を早速試してみる。真面目に日本茶を選んだのが初めてということは、真面目に日本茶を淹れるのも初めてということである。いつも中国茶でしているように湯を沸かし、急須を用意、目安時間を教えられた通りに計測して、抽出。2種類を続けて飲んでみて、味の違いを確かめてみることにした。……緑茶の味比べなんてのも、初めてだのぅ。
今回買った両者のうち、よりスタンダードに近い緑茶らしい。こうして丁寧に淹れて飲んでみると、同じ緑茶でも釜炒りの中国緑茶とは確かに味も香りも全然違う。なんと表現すればいいのか、本当に中国緑茶は「釜の香り」がするし、煎茶は「積み上げた蒸篭のような香り」がするのだ。蒸気の中に何層も折り重ねた、芯はあるけどエッジはぼかしているような、そんな緑の香りである。
渋みは店員のお勧め通り若干強めで、ピタリと好み。喉を鳴らした瞬間に、中国人曰くの「青臭さ」、緑茶の持つ草の味が奥の方に広がる。この心地よい青臭さをキチンと意識できたのは初めてだなー。
というわけで、普段飲みの緑茶として常飲できそうな感じ。旨い。
こっちは「個性派好き」の如星にはたまらない逸品。「かぶせ煎茶」という、普通の煎茶とは若干異なる作りらしい。「趣味の周縁部」というほどではないメジャーなものだけど、それでも緑茶を試したそばからいきなり「非スタンダード」が好みになってしまうとは:)
ともあれ、味わいは非常に甘い。茶葉の産毛を香りに変えたかのような、非常に上品なふんわりとした甘さが広がるが、如星が今ひとつ好まない玉露ほどではなく、丸みのある苦味、という表現の方が適切か。緑茶の本職はこれを「山峡風味」と評するらしいけど:)、確かにダージリンの「大地の香り」にも通じる感覚かもしれない。
前述の「川根煎茶」に比べると緑茶系の特徴たる青い苦味は若干少なめだが、必要十分。「蒸篭に詰まった茶葉」をイメージさせる重層的な香りはむしろ普通の煎茶よりも楽しめる。いやー、玉露が苦手で渋み好き、という如星に「旨い、何度でも飲みたい」と思わせる、非常にバランスの良いお茶であった。
どちらのお茶も、大きく息を吐いたときに、飲んでしばらく経ってからでも舌の根に心地よい青臭さが広がる。こういう「飲んだ後息を吐くたびに香る」という、残り香とでも言うべき飲後感は、どちらかというと中国茶に近いようだ(良質の青茶も、息をする度に完熟フルーツのような甘みが広がる)。ちなみにこういう「残り香」って、実は紅茶ではあんまり感じられないのだ。
#それは「魅力の違い」であって、紅茶・緑茶・青茶間の優劣の差ではありません。当然だけど念の為。紅茶は飲む前に立ち昇る香りが特徴だし、どちらかと言えば喉よりも口内で味わう感じ。
それにしても、旨い。本当に旨い。今この日記を書くために再びこのお茶を入れてきたのだけど、この残り香のあまりの良さに、一緒に持ってきた茶菓子を食べる気に全然ならず、むしろ何度も深呼吸してしまうのだ(笑)。こういう茶飲みの至福を新たに発見するのは実に久しぶり。やっぱ時には一気に別ジャンルに踏み込んでみるモンですな。 ……それが「地元」日本茶だ、というのは相変わらず楽しいけど:)
今日の一滴="緑茶:福岡・八女 星野村かぶせ煎茶「霧」" (2004/03/28)