VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2007-07-13-金】

狼と香辛料:バランス最高の中世商人物語

支倉凍砂「狼と香辛料(1)」読了。派手にメディアミックスなどで売るでもなく、それでいて一部読者に強く支持されていると聞いて好感を覚え1巻目を読んでみたのだけど(それは本当に面白い小説がよく持つ属性だ)いやあこれは本当に面白い。久々に良質の当たりを引いた気分である。

中世風市民生活という舞台設定、当時の商売という物語構成、そして賢狼ホロというファンタジー&ラノベ要素がそれぞれ高いレベルで描かれ、しかもキチンに噛み合っているのは見事としか言いようが無い。一見「良くある中世風」に見えて、キリスト教風の宗教、土着信仰、農民と都市民の生活、商人の関わりなどなど、背景文化の書き込みが実に丁寧で厚みがあり、それを読んでいるだけでも面白い。商いを機軸とした物語作りもその延長線上にあり、珍しいプロットではあるけど作り込みの丁寧さで読ませてくれる。個人的にはヴェネツィア商売やら大航海時代等を通じて興味のあるところなので大いにツボを突いてくれた:)

これだけでも十分小説としては成立してると思うのだが、ここに美少女にして賢狼・神たるホロが入ってくる。これだけ他の要素が揃っていると、下手をすれば単なる媚び要素になってしまう可能性もあるのだが……この作品は断じて否。逆にホロなしでは成立し得ないトリックや救出劇で物語を引き立たせているし──何より、ええい、なんと魅力的なキャラなのだ、ホロ。いわゆる流行の萌えに堕さない、聡さと芯の通った性格と、そして愛らしいという表現がぴったりのキャラ造型。ここに永き時を生きるが故の哀しみまで加われば、これはもう陥落せずにはいられない(苦笑)

ま、イラスト勝ち、イメージ勝ちかなと思う面が無いでもない。ホロのイメージがイラスト無しで伝わってくるか、先に見てしまった以上分からないし。ただ逆に言えば、巧く雰囲気にあったイラストが付いてるってことでもある。また全体として話作りといい文体といい、慎ましさを感じさせる小説なのだけど、イラストに限らず本のデザイン自体(本文字体、題字、目次の飾り等々)がそれを支援していて好印象。私的に本作りをしている同人屋としては、素直に巧いなぁと思ってしまう。

というわけで、全体としてバランスの取れた、非常に読ませる小説でした。適当すぎる中世ファンタジーに倦んでいる方、金貨銀貨の商い物語と聞いてドキドキしてしまう方、そして圧倒的に賢い少女に手玉に取られるのが好きな方(重要)、是非ともお勧め。如星自身、これは一気に2巻以降も読んでしまおうと既にぞね発注&到着済なのでした:)

今日の一滴="−−−−" (2007/07/13)

【2007-07-17-火】

夏コミFate本カバー入稿のお知らせ

先日のTH2ささら小説の入稿に引き続き、夏のFate/Zero&hollow小説本のカバー部分を本日無事入稿いたしました。今回はFate回帰ということで、Fate時代に表紙をお願いしていました「白と黒の境界線」のるろお様にご寄稿いただきました。

コンテンダー! 40秒女! 血と硝煙と革グラブの七日間!(意味不明) ……いや、もうホントイメージ通りの血鉄の重さで今回は進行いたします。個人的には左手折返し部分のアイリスフィールにグッと来てますね。そこに込められた台詞は、心底如星の想いでもあります。

それにしても、今回はちょうど原稿入稿前後にZero3巻が出るんですよね。原作の領域はなるべく侵さないようにはしてますが、やはり苦しいというかドキドキしてしまう面も。実際には結末自体は確定事項なのでそれほど影響はないとは思うのですが……。ただ冷静に検討してみると、第四次聖杯戦争の「決着」ってどうついたか悩ましいんですよね。

この辺りまではFateで描かれている事実。

……ま、ともあれまだまだ原稿執筆は続きます。乞うご期待。

今日の一滴="−−−−" (2007/07/17)


 
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