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如星的茶葉暮らし

■ 03月下旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2007-03-20-火】

サンクリ参加のお知らせ

4月22日のサンクリ35に通りました。告知が遅くなりましたが、コ-02aにてお待ちいたしております。

……が、なんとこの期に及んで如星本人は朝から職場に雪隠詰めで、一切会場に顔を出せないことが判明。年に数日もない休日出勤がよりによってこの日に当たるとは……orz 一応代理の売り子さんは確保できたので本をお届けはできるかと思いますが、コミケ以外のイベントでのんびり売り子をしつつ、来てくださる皆様と直接お会いしたり、まったり余所を見て回ろうと思っていたのに全てが泡と消えました。へ、凹む……!

なお新刊は「夏色透かす」完結編を予定。如星的ささらストーリーの結末をどうぞお楽しみに。

街の景観と生活の匂い

とある方の住むマンションでは、ベランダに鯉のぼりを出すのですら自治会の許可が要り、かつ大抵は景観を損ねるという理由で却下されるという話を聞いた。……ホント、ご冗談でしょう。同様の話で、都心の高層マンションじゃ同じく景観理由(と、高層階は事実上強風で不可能という面もあるが)で布団も干せないというけど、何を偉そうにというのが正直な感想。そもそも日本の建築のほとんどは周囲との調和をまるで考えておらず、建物一つとしてのデザインしかしてない癖に、それでいて周囲を含めた景観を語るとは……。それとも「ボクのデザインを汚すな」という例の建築家オナーヌから出てる話なんだろうか。「デザイナー」の建てた大学キャンパスを経験した如星はそんな辺りも勘ぐってしまうのだが。

フィレンツェやヴェネツィア等の歴史的古都を歩いてみても、数百年姿を変えていない石造りの街並みに普通に洗濯物が掛かっていたりする。それが「歴史的景観」を損ねているかというと全然そんなことは無く、むしろそんな古い建築物の群れが現役で人間の生活を支えているという「匂い」が漂い、古都ならではの風情を演出している。それはそんな生活臭部分以外の、例えば窓枠の色一つ、窓から覗くカーテン一つに到るまで周囲との調和を図っているからこそ、統一された雰囲気を壊さずに個々の差異というアクセントが楽しめるのだ。そんな周囲との調和努力をまったくせずに個々の建造物のデザイン性などを追うもんだから、その単一のデザインを鯉のぼりや洗濯物で「崩される」という発想になってしまうのだろう。なんつーか、発想の貧しさを感じるなぁ。

今日の一滴="−−−−" (2007/03/20)

【2007-03-22-木】

メイド・ツアーズ・マイルストーン

要するに誕生日なわけですが。別段感慨もないし、祝い事は週末だし、事も無く終了。

今日の一滴="−−−−" (2007/03/22)

【2007-03-24-土】

サンタ・マリア・ノヴェッラのある生活

相方が如星の誕生日にプレゼントをくれるという事で、ふと思い立ってサンタ・マリア・ノヴェッラ@銀座に赴き何か買ってもらうことに。近年すっかり香りモノ好きの如星、男性の側が嬉々としてフレグランスやトイレタリーに悩んでいる姿は店員にとってもなかなか笑える光景だったかもしれない:)

結局この日はベティベールのバスオイルと、手荒れの酷い如星向けにアーモンドのハンドクリームを選択。クリームは先日新宿伊勢丹にて手の甲にテスト塗りをさせてもらってたので、アレルギー等問題ないことは確認済み。消えモノではあるけど、こういう「生活に根ざしたちょっといい物」を貰えるのは嬉しいもんだ。

そして気がついてみれば、結構身の回りにSMNのアイテムが揃っている事に気づく。ちょっとここらで手持ちの香りモノなどを並べてみよう。

ルームフレグランス

サンダーロを長年愛用中。サンダーロとは白檀のことだが、ノヴェッラのサンダーロは甘いオリエンタル風味というより、地中海世界が白檀を料理するとこうなる、といった風情のスパイシー&スモーキーな香りである。これを素焼きリングに垂らしてアロマランプに置けば、むせ返るようなとすら形容もできる濃厚な香りが立ち込める。単に落ち着くというのとも少し違う、週末の夜などに向いた香り。

アックア・ディ・コローニア(オーデコロン)

サンダーロ(白檀)とイリス(アイリス)の2種。サンダーロは部屋用よりは少し甘めでパウダリー。でもムスクみたいなもわっとした甘さはなく、心地よい深みが。イリスの方は文字通りアイリスの香りなんだけど、ノヴェッラ、いやイタリア系フレグランスに特徴的な、花屋なんかに立ち込めるあの植物の青臭さがほんの少し紛れ込む。ただ華やかなだけではないその青みがお気に入り。

バスオイル

今回頂いたベティーベール。サンダーロに少し似つつも、木の根のような苦味のある香りである。まだ未使用なので本番が楽しみ。

ハーブウォーター

フィオール・ダランチョ(オレンジフラワー)を愛用。これは他のフレグランスと違って文字通り「水」であり、ほとんど香りが後に残らないので気楽に使えるのが特徴。写真一番左のボトルがそれだが、このままでは使いづらいので小さめのスプレーに小分けして使用中。湯上りに身体に軽く吹いたり、部屋の空気が乾燥してるときにバラ撒いたり、寝る前に枕元に散らしたりして利用する。すぐに香りが消えるので、クローゼット臭くなった服を着ていく時に軽く吹くのもお勧め。

石鹸(サポーネ)

色々試したけれど、一番のお気に入りはミルクソープ(サポーネ・ラッテ)の「バラ」。バラの香りと聞くとちょっとくどそうに思えるけど、ノヴェッラのこの石鹸のバラは妙にスパイシー(辛いではなく文字通りスパイスっぽい)で、ポプリのような乾いた複雑さを持っているのだ。泡立ちも良く、病み付きの逸品。

この他に割りとよかったのはザクロ(メログラーノ)の石鹸。ザクロというより「石鹸らしい石鹸」の心地よい香りである。メンズソープ(サポーネ・ペル・ウオモ)のサンダーロも「白檀シリーズ」として統一感を出すには良かったのだけど、泡立ちなどの点でミルクソープを主利用に。ちなみにこの香りに慣れると、合成臭漂う普通のボディソープなんかが本当に辛くなるので注意(苦笑)

ハンドクリーム

これも今回頂いたアイテム、アーモンドクリーム(パスタ・ディ・マンドルレ)である。如星は昔からアトピーで季節によっては手荒れも酷く、そして近年手の甲の小指付近など特定箇所が異様にかさついてなかなか治らない。今回のアーモンドクリームは半ば「ノヴェッラだし」という記念プレゼント的な気持ちで選んだのだけど、実際付けてみると……な、なんか恐ろしく効くのですよ、これが。3日目にしてほぼ完治して来ていたり。嗚呼、お高いクリームって本当に値段なりに効くもんすね……(笑)。もったいないのでその付近にちまちましか使っとりません。ハイ。

アルメニアペーパー

これは異色。いわゆる紙香で、ガム大の厚紙からお香のような匂いが漂う。ただし紙香といっても、これは本当に燃やすことも可能。あっという間に燃え尽きて、部屋の臭いを消す効果があるとか。もったいないのでやらんけど。如星の使い方は、パスケースや名刺入れに忍ばせておくもの。カードに香りがつき、パスケースを開いたときに一瞬ふっと香ったりする。手帳に挟んだりしてる人もいるとか。

ポプリ

これはクローゼット用のポプリ。ビニールで厳重に包んですら匂いが漏れ出てくる強力な代物で、仕舞ってある服に「ノヴェッラの香り」がほんのり漂うようになる。出していればすぐ消えてしまう程度だし、如星が身に付けるのは前述のサンダーロのような西欧系の香りなので、その辺りで喧嘩することもない。これも一度慣れると病みつきである。

ハーブティー

前にこの辺とかこの辺で書きましたな。カモミールとオレンジフラワーが特徴的な「A17」、ミントにフェンネルやスターアニスの効いた「A16」、ドライフルーツ等を煮出して作る「マッキア」を常備中。

酒その他

晩酌用に調合したハーブの香りのリキュール、エディンブルゴとアルケルメスを常備。「……養命酒?」という人もいる、甘く苦い風味のリキュールだ。もう少し甘め一辺倒のメディチェオなんかも一時は愛飲。ただ、悲しいけどメディチェオとローザ以外のSMNリキュールは日本じゃ売ってないのよね……! エディンブルゴとアルケルメスは大瓶を前回のフィレンツェで購入し、ちまちま飲んでいる始末。本当はリキュールとは言えあんま長く時間掛けて飲むのはよろしくないんだけどね。

あと、写真の右端に写ってるのが、その名も「サンタ・マリア・ノヴェッラ水」。エリシール(エリクサー)の名がついた70%の高濃度アルコールで、このまま飲むのではなくコップ1杯の水にひと垂らし。あっという間にミントの香り立つハーブウォーターが出来上がるという代物。寝る前に茶ではなく小ざっぱりとしたい時などに。

……我ながら染まっているなぁ。ま、いわゆる「今時の香水」等の、甘めか、すっきりシャープさを追った香りが苦手な場合、逆にこういう少し日本人離れした西欧系の香りが好みになるのかも。もちろん洗剤等の合成系の臭いは言うに及ばず。ま、如星のようなくどい男には、これぐらい重厚な香りじゃないと似合わないというツッコミもあるのだがね:)

今日の一滴="−−−−" (2007/03/24)

【2007-03-27-火】

エマ8巻:実力派漫画の愉悦を久方ぶりに

エマ8巻読了。久しぶりのエマであると同時に、久しぶりに画力とストーリーテリングの双方が充実した漫画を読んだ気分に浸れた。相変わらずすらばしいなぁ。

コミックスだけで追っている自分にとっては本当に久しぶりだったので、普段あまり下の名前で呼ばれないあのキャラの名などすっかり忘れており、おかげで最初の2話は余計に楽しめてしまった──というか、最後の落としで泣きそうになる。本当はそこにはないはずの虚構の時間の重みをキッチリ感じさせてくれる物語だ。……それにしても、2話分の短編でもあそこまでキッチリと物語を作りこみ、最後に綺麗に円環となる構造を作れてしまう実力は流石である。ま、コミックス派ならば如星以外にも同じ「素敵な罠」を踏める忘却を済ませてる人はいると思うので、是非最初は無心に読んで欲しい。これはある程度作者が意図的に狙った構成だと思うのだけど、一部のコミックス案内では不粋にもネタばらしをしているモノもあるので注意。

また最後の方に載っていた「TIMES」は、もう森薫女史のショートショート描きとしての技量の真骨頂じゃないかと思う。新聞をキーワードに小話を重ねつつ、統一的な雰囲気を盛り上げていく群像劇の手法は見事だし、またその端々に作者のイギリス文化への傾倒がしっかりと土台となって滲み出ていて、全体の空気を更に深みのあるものにしている。そして最後のエピソードに敢えて既存のキャラを使わずに締める辺りに、超短編という枠内での物語やキャラ造詣に対する描き手の自信が表れてると思うのだ。いやー、これは完敗だなー。

や、冒頭で「久しぶりに」と掲げたけど、別に最近読んでる漫画のレベルが低いというわけじゃあない。ただ最近ちょっと萌え絵系の作品を読むのが多かったのと、俺の好きな実力派の鋼練やヴィンランドサーガにしても、ちょうど今物語のトランジションとなる巻だったりしたので、こういうピンで立つ面白さを感じてなかった気がするのですよ。

今日の一滴="−−−−" (2007/03/27)

【2007-03-30-金】

プレチェネッラ三昧

今宵は久方ぶりに横浜のトラットリア「プレチェネッラ」へ。またしても不意に思い立ってダメ元で当日に予約を聞いてみたら、入口付近の一席だけど用意できるとのこと。いや何、入口付近といっても客の出入りが激しいわけじゃない(基本的に各テーブル一回転しかしないんだし)、むしろキッチンやスタッフに近くて嬉しいぐらいなので、迷わず確保を依頼。先週のちょっと澄ましたフレンチの後だったので、トラットリアかビストロでモリモリと食う喜びを味わいたかったのだ:)

なお行き掛けに、既存店の手前道向かいにできるプレチェのピッツェリア&アンティパスト専門店の仕上がり振りが目に入る。ちょうど今ピッツァ窯のタイル貼り中のようで、これらの石窯は職人の手仕事によって二つとない焼きの個性を持つ窯になる──なんて話を料理通信やサルトフィニート(笑)で読んだところだったので、ちょっと面白く眺めてしまった。

マグロの幼魚のタルタル 長芋のミルフィーユ仕立て

魚臭さが少なく、それでいてマグロの赤味らしい旨みがねっとりと。合わせが日本食材の長芋って辺りが面白い。また敷いてある冷たいトマトソースが粒度も荒くフレッシュでうまうま。

イイダコのソテー サフラン風味

品名は適当(苦笑)。イタリアンでイイダコと言うと、マリネした奴をぱくっと、というイメージがあったのだけど、これはしっかりと蛸々しいタコ。もっきゅもっきゅと旨い。ああ、俺最近サフラン好きだなぁ……。

ピッツァ:メッツァ・ノッテ

モッツァレラとルッコラとプチトマトのピッツァ。相変わらず旨い。というかいわゆる「ピザ食いの席」──キッチンに一番近く、ほんの僅かでも更に熱々が食える、とネタにされる席に座ってるのだから、食わぬわけには行くまい:) もちろん、熱々のところを瞬殺。

ウサギのコルツェッティ(スタンプ風の薄円形パスタ)

詳細名忘れた……。コルツェッティは木型のスタンプで挟み押して作る直径5-8cmぐらいのコイン型のパスタで、こいつにウサギの肉がわしゃっと入っている。またパスタ自体にバジルが挟み込んであり香り高い。ちょうど先日ベッカッチャで頂いたキジのラグーのピンチ(太麺)を思い出す、肉の旨さがばっちりな一皿。

白身魚(忘れた…)と二色のアスパラ

名前を忘れてしまったのだが肉厚な白身魚のソテーに、グリーンとホワイトの2つのぶっといアスパラがずごーんと据えてある。相方共々ホワイトアスパララヴでこの季節はドキドキしてしまうのだが、そこに青々しい旨味たっぷりのグリーンもついて二倍旨し。魚も旨かったのだが、これは先日ベッカッチャで食したドーバーソールのインパクトが強すぎ、魚自体はどうしてもそっちに軍配が。あれは素材が良すぎですぜ……。

甘茶豚のグリルと春野菜、乾燥そら豆のソース

実はプレチェでは、如星たちはよくウズラなど野鳥があればそれに流れ、馬や猪等があればそっちに流れと、普通に豚をわしっと食べた事があまりないのである。そこで今日はがっつり豚肉を食すためこいつを選択。……炭火の香りのついた豚は最高。そして一緒に出てくる春野菜たちの旨い事旨い事、菜の花や新筍がこんなに合うとはね。

いつもであればメインを食い終えた後、チーズとグラッパを延々楽しんでからドルチェに移るのだが……。本来醸造酒にはとことん弱い如星、今日は調子こいて食前酒に続いてプロセッコなどを飲んでしまい、かなり酔いが回ってしまっていたので泣く泣くパス。いや、もう何か「今宵は酒が旨い……(死亡フラグ)」とか呟きたくなるほどヴェルナッチャもプロセッコも旨かったんですもの!

ちなみにドルチェは「ピスタチオとダークチェリーのミルフィーユ」と「いちごタルト」。いずれも旨かったのだが、それとは別にちょっと驚いたのがミルフィーユに添えられていたジェラート。はっきりとリキュールの香りやアルコール分が漂っているのだが、それが何だかどうしても分からない。キルシェか、コアントローかと悩んだ挙句聞いてみたところ、「サントリーの営業さんが持ってきた新発売の謎リキュール」だそうで。カクテル向けだそうだが、ウチ(プレチェ)はカクテルとか出さないし……と思いつつシェフに渡したところ「ドルチェに試してみる」ということに相成ったとか。確かに甘いものには結構合いそうだ。帰宅後ぐぐってみたらこんな怪しい代物ではあったが……(笑)

今日の一滴="−−−−" (2007/03/30)


 
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