VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

■ 01月下旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2008-01-20-日】

聖ヴァレンティヌス前夜祭:マンダリンオリエンタル

マンダリンオリエンタルのショコラ、である。先日ちょっとした公用で日本橋のかのホテルに用事があり(もちろん&残念ながら宿泊ではない)、帰り際に何の気なしにホテルショップに寄ってみたら、ショーケースに鎮座していたのは一揃いのチョコレート。そういやもうすぐ今年も聖ヴァレンティヌス感謝祭の季節。ちょいと気は早いけど前夜祭ということで、試しに4つほど買い込んでみたのだった。

選んだのはホテルの名を冠した名前通りのフレーバー「マンダリン」、4種のスパイス(キャトルエピス)とナッツを練り込んだという「クロカンテ・ラクテ」、オリエンタル風味ということで「ジャスミン」、そして物珍しさと期待を込めた「紹興酒」の4つである。

マンダリン

マンダリン、要するにオレンジフレーバー。もちろんオレンジピールが入っていたりするわけではない。マンダリンの香りは上品で、柑橘がキツく匂うということはない。チョコレートとしてのレベルはかなり高く、流石は看板銘柄といったところか。普通にお勧め。

クロカンテ・ラクテ

ナッツの感覚がしゃりしゃりと。購入時に店の人も言っていた通り、キャトルエピスとは言え強くスパイスの香りが広がるというわけではなく、ほのかに感じるかな、といった程度。悪くはないけど、ちょっと酒飲みには物足りない感じかなぁ。お茶には良く合いそう。

ジャスミン

ジャスミン? うーんジャスミン? かなり慎重に味わって香りを感じてみたけど、全然わからない……(汗)。飲み込むときに一瞬ジャスミン茶めいた、チョコとは少し違う苦味に近い喉越しがあるけど、その辺りに感じる程度かなぁ……。いまいち。

紹興酒

半分に割った瞬間に昇ってくる、あのちょっと醤油めいた紹興酒の香り。ジャスミンとは打って変わって明確な香りに期待して口に含むと、まったく裏切られない熟成酒の舌触り。表面が薄く砂糖でコーティングしてあり、そのパリパリした食感も楽しい。辛さにも近い東洋系酒の強いコクがあるので、どんな酒でも迎撃できそう。こりゃあ当たりだわ。お勧め。

ちなみに思いつきで買ってきてしまったので、困ったのが合わせる酒のほう。ショコラには普通ブランデー系の酒が合い、我が酒蔵でいうと樽熟系のグラッパやマールになる。非熟成系のグラッパは普通甘めでフラワリーで、これはこれで甘い物に良く合うのだけど、ショコラが相手だとちょっと弱い面もある(ガツンとした冬の朝系グラッパならOKだが)。今ちょうど樽熟系は切らしており、またモルトはアイラしかなく、食い慣れて個性の分かってるショコラ相手ならまだしも、初見の相手に使うにはパワーがありすぎる。結局悩んだ挙句貰い物のブレンデッドウィスキーにしたのだけど、ちょっとどっちつかずなイメージになってしまった。特に最後の「紹興酒」はバニラ系の日本モルトなんかも合うだろうなー。このシーズン、もう少しチョコ向けの酒を揃えることにしよう……。

ま、ともあれよい先行実験でした:)

(2008/01/20)

【2008-01-27-日】

秋葉暮らし近況

帝都引越しを先日敢行、新居環境構築に奔走している日々です。二人暮し開始での転居ということで、白物家電は全て新調、水周りやら共用部の小物も全て買い物に奔走しつつの梱包・開梱となり、正直疲れ果てております……。

白物や家具の類は事前調査でcmの単位で合わせて送りつけて設置したので楽だったんですが、小物系はやはりどうしても実際に住んでみないと買えないモノが多く、それらの買い物に出ていると部屋の片付けが進まないというカオス状態が続いているのですよー。ま、それでもようやく生活必需環境の構築は一段落し、室内は箱まみれであっても自炊や洗濯が開始できました。とりあえず寝床としての機能が回れば残りはちんたらやっても生活に支障はでませんからね。

実際秋葉から徒歩数分の位置に越したわけですが、今のところそういう実感はなかったり。どちらかというと上野文化圏にどっぷり浸ったエリアだなぁ、という印象ですね。何処に行っても鞄と靴が売っている不思議な町、というか:) 渡米経験を含め、これまで基本的に郊外のみで生活してきたんで、都市部生活がどう出るか、といったところ。

一方、この辺りはいわゆる下町であり神社・町会文化なんかもそれなりにあるわけですが、実はその辺ってアメリカ北東部の「town」に根ざした強いコミュニティ意識とすごく似てるんですね。よって実は自分にとっては御馴染みの感覚かもと思ってます。欧州と違って新しい国でありアンチカトリックでスタートした文化ゆえに教会を中心とした教区制みたいな繋がりは薄いんですが、その代わりに一町一学校の原則下、学校をコミュニティセンター的にした繋がりがアメリカ(少なくとも私のいた北東部ニューイングランドは)ではとても強い。町会が法被を作るように、連中はスクールカラーに町名入りのスタジャンとか作っちゃうわけで:) 今日本ではそういう繋がりって地方ですら薄れてるというけど、本来は自然な人の営み方なんじゃねえかなぁ、と思ったりもするのですよ。

さて、引き続き開梱を進めるとしますか。とりあえず30日のネットワーク開通までにはメインPCの配線ぐらい済ませたい……orz

(2008/01/27)

【2008-01-28-月】

聖ヴァレンティヌス祭:サロン・ド・ショコラ

やってしまった……。バレンタインシーズンに先駆けて新宿伊勢丹で開催される「サロン・ド・ショコラ」。今回の開催はちょうど引越し真っ只中に当たってしまい、襲撃は不可能と思ってたんだけど……自分のチョコレート欲、もとい聖ヴァレンティヌスへの信仰心を甘く見てましたな。時間の隙間を縫うようにして必死の突撃を敢行、それなりの戦利品を確保してきたのでした。

いわゆる有名どころは既に売切れ続出だったけど、自分としては満足の行くモノは手に入ったと思ってる。ベルナシオンのパレドールは相変わらず瞬殺のようで、食い物目当てに並ぶのが死ぬほど嫌いな如星、例え販売していても1時間列だったと聞けば買いはしなかっただろうが、流石にここまで求められていると一度ぐらいは試してみたくなる。併設されてたショコラバー(27種のブランドから1つずつチョコが出ていた)では普通に食えたらしいのだが、自分が行った時にはもう4種しか残っておらず、もちろんパレドールは無し。水曜からのバレンタインフェアでも売るらしいけど、多分また瞬殺だろう。気になるが突撃するまでではないのがむしろ悩ましい。

ともあれ、カードに一筆いれてもらったり、我が最愛のリシャールではミシェル・リシャール氏本人が来ていたので思わず一緒に写真を撮らせてもらったり(笑)、まぁトチ狂った行動もカカオの魔力とお祭りイベントということで許してくだされ:)

日本酒とショコラのマリアージュ

さて一方、伊勢丹には常設のエヴァンだが、イベントフロアにも展示スペースと共に臨時のカフェを出していた。その店頭で目に入ったのが「お酒とのアソシエーション」、なんと日本酒とショコラのマリアージュである。これは大いに気になる……。実は襲撃は平日の昼間だったのだが、まぁショットサイズの醸造酒だしということで悩んだ(振りをした)末に試してみた。

先に断っておくけど、それほど期待してたわけではない。一時期「ワインブーム」だの「ポリフェノールほげ」の頃に、それなりの店ですら何でもかんでも「ワインとチョコレート」の組み合わせで出ることがあった。しかし何度もここで書いてることだけど、本来チョコとの合わせは蒸留酒の独壇場で、ワインとは合わせにくい。特に日本で人気のある赤はタンニンがカカオと渋みで喧嘩しやすく、合わせるならポートに近い甘めのモノを慎重に選ぶべきなのだ。ところが日本のパティスリーはどうも飲み物に無頓着なようで、酒のみならず紅茶すら、なんかイマイチ合わないモノを平気で並べていたりする。……この日本酒も、そんな類の代物だったら嫌だなぁとも思っていたのだ。

前置きが長くなったけど、ともあれ結論──疑ってスミマセンでしたエヴァンさん。カウンターとなるショコラの選び方といい、絶妙のマリアージュを楽しめてしまった。よくよく聞けば、パリ本家のサロンドショコラのマリアージュ部門で2位を取ったとか。この旨さなら納得。

日本酒は新潟・越の華の「カワセミの旅」。日本酒には詳しくなく、また甘めの苦手な如星だが、甘くはあってもモッタリはせず、喉の奥から抜ける香りが良好。チョコとの合わせは基本的にこの「余韻」部分になるのでwikipediaによれば日本酒では「吟香」「返り香」と言うようだ)、ここが良い酒ってのは重要なポイントである。菓子を先に頂くお茶とは逆で、酒の場合はツマミを後にするのがコツ。酒の残香で合わせを包んでやるイメージだ。

一方のショコラは塩キャラメルを使ったモノ、ミルクガナッシュ、そしてビターにナッツやフィグが載ったモノ。まずは日本酒をゴクリとやり、余韻の中で塩キャラメル風味の一枚を放り込む。……う、旨い。これは旨い! 岩塩のチョコとモルトという定番の合わせに近いのだが、こういうスッキリした甘さの酒がチョコと合うなんて意外すぎる。続くミルクガナッシュでは今ひとつ合わせの良さを感じられなかったが、最後のビターとナッツは予想通り塩気とカカオの苦味がこれまた酒と絶妙に合う。知らず顔がにやついてしまう至福の瞬間。カウンター端の目立たない位置でよかった(苦笑)

この酒、エヴァンでの販売は今回のみのようで常設は無いが、酒自体はもちろん普通に入手可能な模様。合わせのチョコもエヴァン常設品なので、気になる方は別々に購入して是非一度お試しあれ。会場にエヴァン氏本人も来ていたので、まずは幸せの賛辞と、そして日本店での常時併売の訴えを通訳さんに頼んで伝えてもらってはおいたけど:) 同時に気軽に買えると楽だからねー。

今日の一滴="日本酒:新潟純米原酒「カワセミの旅」" (2008/01/28)


 
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